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「あー、はい、あれは、その、動画を集めていたそういう掲示板によくいた人の名前をそのまま使ってたんです」

「え、人の名前なんだ!」

「はい、“ぼーだー”さんって人で、なんかめちゃくちゃそういうのに詳しいんですよ。“あそこのサイトによく動画落ちてますよ”って教えてくれるし、なんか普通に画像とか動画も送ってきてくれるんですよね……」

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「へー、でもなんで“ぼーだー”なんだろうねぇ」

「……人としての境を超えるとか、向こう側みたいなことかなと思ってました」

「え? あー、英語の『ボーダー』ってこと?」

「はい」

 その日はなんだか無事済んだのか気まずかったのかよくわからないような空気で、Aさんの家を後にした。

引きこもってしまったB君

 それからNさんは1週間ほど、諸事情があって家庭教師の仕事を休んでいだ。だが、再びAさんの家を訪ねたとき、またしてもあの動画に関する不気味な出来事を聞かされることとなった。

 B君が半分引きこもりのようになり、おかしくなってしまったというのだ。

 その話を聞いた瞬間は、自分が直接聞きにいったのがまずかったかと、血の気が引いたが、Aさんは熱っぽく“そういうことではない”と説明してくれた。

「いや、違うんです。お兄ちゃん、ああなる前までは普通だったんです。けど、“ぼーだー”って人から送られてきた、ある動画を見たって言い出して。明らかにそれからおかしくなっちゃって……」 

 “ぼーだー”という名を聞き、妙な鳥肌が立った。やはり自分が過干渉したせいだろうか。ここは、けじめをつけるためにも、もう一度だけB君と話したほうがいい、そう思ったNさんは意を決してB君の部屋をノックした。

(文=TND幽介〈A4studio〉)

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