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「怖い話」が読みたい

パソコンが重くなって「どうせエッチな動画を大量に保存しているんじゃないか」と… ネット掲示板に潜む“謎の人物”の不穏な影

ぼーだーの動画 #1

2022/01/02

genre : エンタメ, 社会

 北九州に住む書店員である・かぁなっき氏。彼は大学時代の後輩でもある映画ライターの加藤よしき氏と、猟奇ユニット“FEAR飯”を結成。その語り手担当として2016年からライブ配信サービスTwitCastingで、怪談チャンネル「禍話」を続けてきた。そこで語られる実話怪談の数々は、ポップな氏の語り口とは裏腹にホラーファンの心を掴んで離さない強烈な禍々しさに満ちている。

 そんな「禍話」の活躍は配信だけには収まらない。2021年7月11日には入野自由&水谷果穂主演でドラマ化を果たし、さらに2021年の10月には明治期から続く文芸雑誌『早稲田文学』に、かぁなっき氏が随筆を寄稿した。

 目が離せないコンテンツとして躍進を続ける「禍話」の中から、今回は人気ストーリー「ぼーだーの動画」をお届けする。とある家庭教師が垣間見た、猟奇的な動画にまつわる出来事とは――。(全2回の1回目。後編を読む

◆◆◆

中学生の家庭教師

 この話は、かぁなっき氏が地元高校の同窓会で同級生から聞いた話だそうだ。

 当時、関東に住んでいた20代半ばの男性Nさんは、高校受験を目前に控えた女子中学生のAさんを相手に家庭教師の仕事をしていた。

©️iStock.com

 彼が教えていたAさんの一家は、父と母、Aさん、そして彼女の兄である高校生のB君が仲睦まじく暮らす4人家族。B君とは顔を合わせたことはなかったが、とても上品な印象を覚える穏やかな家庭だったそうだ。

 とりわけ、Nさんが教えているAさんは愛想の良い子で、勉強熱心で飲み込みも早い。Nさんも彼女の受験に特段不安は感じていなかった。

 だが、そんな順調だった日々は、ある日を境に予期せぬ方向に転がっていった。

浮かない表情のA

「よし、じゃあここで少し休憩しましょう。今やったところ大事なので、自分でもちゃんと復習しておいてね!」

「……はい」

「……えっと、じゃあ、10分休憩ね」

 いつもなら愛想よく返事を返してくれるAさんだが、ここ最近はなんだか元気がない。その日も浮かない表情で、返事もうわの空な感じがしていた。

「あの、先生ちょっと相談があるんですけど」

「え?」

 女子中学生に改まって相談されると妙に身構えてしまうものである。勉強についてだったらもっと気軽に聞いてくれるだろうし、一体なんだろう……まさか、恋の相談だとか言うんじゃないだろうなぁ、なんてことを考えていると予期せぬ言葉が彼女の口をついた。

「兄も使っているパソコンについてなんですけど……」

 Aさんの家は、AさんとB君が共同で1台のノートパソコンを使っているのだが、そのパソコンが最近急に重たくなって動かないというのだ。

 なんだそんなことか、とちょっと拍子抜けだったが、次第に別にパソコンに詳しいわけでもない自分になんでこんな相談を、という疑問が湧き上がってきた。だが、それはAさんも織り込み済みだったようで、「あ、別に先生に直して欲しいとかそういうのじゃないんですけど……」と前置きした上でさらに話を聞かせてくれた。