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冬でも読みたい「怖い話」

カビ臭いエレベーターで5階に登ると… 山陰地方の港町で学生が目撃した“異様”な光景とは

祭り覗き #1

2022/01/01

genre : エンタメ, , 娯楽

 北九州在住の書店員・かぁなっき氏。彼は大学時代の後輩である映画ライター・加藤よしき氏とともに猟奇ユニット“FEAR飯”を結成し、その語り手を担当している。そんな彼の名を知らしめたのが、ライブ配信サービスTwitCastingで2016年から続けている「禍話」という怪談チャンネルだ。今なお収集を続ける膨大な実話怪談のアーカイブから繰り出される話は、ホラー好きたちの心を掴んで離さない。

 「禍話」は、2021年7月11日にABCテレビ制作、入野自由&水谷果穂主演でドラマ化、かぁなっき氏は2021年の10月に明治24年から続く文芸雑誌『早稲田文学』に随筆を寄稿するなど、快進撃が続いている。

 今回は、「禍話」の中から人気エピソード「祭り覗き」をお届けする。とある山陰地方を訪れた学生が偶然目撃してしまった不可解なものとはいったい――。(全2回の1回目。後編を読む

©️iStock.com

山陰地方の“ぶらり旅”へ

 この話は、かぁなっき氏が大学時代の後輩から聞いた話だという。

 今から20年ほど前、とある大学で民俗学を専攻していたFさんは、ある年の夏休みに山陰地方にフィールドワークに出かけたことがあった。

 もともと一人で行動することが性に合っている性格だったので、そのときも気楽なひとり旅を選択。2、3日かけて地元の民俗資料館を巡ったり、アポなしで地元住民に話を聞いて回ったりしたそうだ。

 幸い地元の人たちは快くFさんを受け入れてくれたそうで、必要としていた調査はもちろんのこと、思わぬエピソードまで聞くこともでき、フィールドワークとしては大成功となった。

 あとは帰って提出用のレポートをまとめるだけだな、と目的が達成できて気持ちの余裕ができたFさんは、最終日はこの山陰地方で、いわゆる“ぶらり旅”をやってみるのはどうだろうと思い至った。

 そして、目的地も定めぬまま、ふと電車に飛び乗ったのだ。