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2022年の論点

維持費だけで毎年24億円、コンサート会場としてもいまいち…やっぱり“負の遺産”と化した国立競技場の迷走

維持費だけで毎年24億円、コンサート会場としてもいまいち…やっぱり“負の遺産”と化した国立競技場の迷走

2022/01/18

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会

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「負の遺産」は国立競技場だけではない

 オリパラ後の「負の遺産」となるのは国立競技場だけではない。

 水泳会場の「東京アクアティクスセンター」、ボート等会場の「海の森水上競技場」、バレーボール等会場の「有明アリーナ」、カヌー競技場の「カヌー・スラロームセンター」、ホッケー会場の「大井ホッケー競技場」、アーチェリー会場の「夢の島公園アーチェリー場」と、国立競技場も含めた7競技場の年間経費は50億円にのぼる。

 だが、有明アリーナ以外の施設は年間収支が赤字と予想されている。7施設で総額約2900億円かけた結果が毎年の赤字なのだ。民間企業でこのような設備投資を行えば、確実に破綻する。政府や都は税金だからこそ、無駄に使っているとしか言えない。

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有明アリーナ ©iStock.com

 いい加減な見通しで国立競技場を建設し、予算をいったん見直した後に、改めてサブトラックを整備するのは、まさに「朝三暮四」の故事で示された物事の本質を見抜けないサルと同じだ。

 オリパラ終了後、報道各社が世論調査を行い、新型コロナ禍の下で強行開催されたオリパラを「よかった」と思う国民が6割にのぼる結果は、この国の悲しい現実でもある。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2022年の論点100』に掲載されています。

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