世界経済フォーラムが毎年発表する、各国における男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本は156カ国中120位となった。この順位の最大の原因は、分析指標となる政治・経済・教育・医療の4分野のうち、政治分野が低いことにある。日本は国会議員や閣僚の女性割合が低いため、政治指標だけの順位は147位。圧倒的に世界に後れをとっている状況だ。このように女性議員がマイノリティ的存在である政治の世界では、女性が働く上で様々な困難が待ち受けている。

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 そのひとつとして、近年少しずつ認識され始めたのが、女性議員に対するハラスメントだ。令和2年度に内閣府が地方議員に対して実施したアンケート調査では、女性議員の57・6%が有権者や支援者、議員等からハラスメントを受けた経験があることが明らかになった。

 その内容としては、上から「性的、もしくは暴力的な言葉(ヤジを含む)による嫌がらせ」が26・8%(男性議員は8・1%)、「性別に基づく侮辱的な態度や発言」が23・9%(同0・7%)、「SNS、メール等による中傷、嫌がらせ」が22・9%(同15・7%)と続いた。

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 ハラスメントをしてくる相手は、同僚議員が最も多いことが様々な調査から明らかになっているが、有権者や職員から受けることもある。私が女性地方議員に対するハラスメント調査を行う中で見えてきた、ハラスメントの実態についてお伝えしたい。

男性議員から毎晩電話が…

 まず、同僚議員からのハラスメントとしてよく聞くのは、体を触られたり、会議中や議会内でセクハラやマタハラ発言をされたりするというものだ。こういった発言に関しては、そもそもハラスメント行為だということを認識せずに行っている場合もある。他には、男性議員から毎晩電話がかかってくるが、無所属の自分の政策を応援してくれる相手でもあるため、なかなか無下にできないという人もいた。