そもそも、男性議員が圧倒的多数の議会の中で、ハラスメントのことを話題に出すことは女性議員にとって大きなハードルとなっている。また、視察先に向かうバスの中で体を触ってくる、歩く時に手を握ってくる、宿泊するホテルで部屋に入ろうとするなど、視察中は特にハラスメントが起きやすいので警戒しているという女性議員も多数いた。
有権者から婚姻届を渡されることも
有権者からのハラスメントとしては、街頭演説中のものがある。体を触られる、握手をした手を離してもらえない、連絡先や住所を執拗に聞かれる、延々と説教をされる、演説場所を変えてもずっとついてくるなどだ。
対策として単独ではやらないという人もいたが、公設秘書制度がない地方議員の場合、なかなか複数人での街頭演説を行うことは難しい。なお、男性が一緒に立っていると、被害が圧倒的に減るという意見もあった。
そして多くの女性議員は、待ち伏せやストーカー行為の可能性を恐れて、街頭演説の情報は事前告知せずに事後報告のみをしていた。また、1期目の女性議員が経験しがちなのが、陳情や悩み相談の面会を依頼されて会うと、依頼内容と関係ないことをされるということである。個人的な付き合いを求められたり、告白をされたり、婚姻届を渡された人もいた。
深刻化するインターネット経由の被害
近年は、インターネットを通じた被害も深刻である。誹謗中傷や説教等がSNSやメールで送られてくることは男性議員にもあるが、女性議員に特徴的なのは、恋愛対象や性的対象として見られるケースの多さである。
「彼氏はいるの?」「付き合いたい」といったメッセージや性的な暴言、性的な画像等が送られてきたり、数年間にわたって告白のメールを送ってきたりするなど、時にはストーカーに近い行為もあると聞く。他には、日記やプロフィール、日常生活での呟きなどを、毎日のようにSNSで送ってくるケースも頻繁に起きている。