女性側の問題も感じる「男女差別」問題
原田 韓国はもっとひどいけど、確かに日本にはまだ男女差別が残っていると言われていて、でも、逆に女性への優遇という差別もあるんですね。まだ日本の企業では女性管理職が少なかったりいろいろな問題が残っている一方、「君、子供がまだ小さいんだから早く帰りなよ」と言われるのに対し、男性は子供が小さくてもそんなことを言われることはなかったり、男女差別とその裏返しである逆差別も存在しているんでしょうね。優遇措置が存在しているからこそ、それを捨てたくない女性も日本の職場では一定量いるのかもしれません。
コー 日本人女性の友達がずるいんですよ。優しくされたい時は「私、女性ですよ」って言うくせに、男と張り合う時は「女性差別だ」ってすぐ言う。それで男に負けると、「私、女性なんだから手を抜いて」って(笑)。こうしたシーンを本当によく目にします。
原田 都合のいい時だけ「女」を使うってことですね。
コー バイト先でもそうです。失敗した時は「私、女性ですから」、手伝って欲しい時は男に「手伝ってよ」。一方で男女平等はしっかり主張する。
原田 あらあら。外国人が日本の年功序列に違和感を感じるのは想定できたけれど、日本の女性にこんなに違和感を感じるなんて想定外でしたね。日本で男女平等が実現されないのは全て男性のせい、という風潮が強いけれど、外国人の目にはむしろ女性の問題と映るのを、日本社会は理解しておくべきかもしれないですね。
新卒一括採用の壁
ケン あと、これは差別というより日本の習慣の問題ですが、大卒の新卒採用にかなり偏ってますよね。僕は今32歳ですが、就職活動はかなり苦戦しました。周りはみんな22、23歳の大卒なので。
原田 少子化が続いて人手不足が深刻化しているのに、まだ「新卒一括採用」「年功序列」にこだわっている日本企業も多いですからね。「同期の桜」なんて言葉もあるし、例えば、2001年入社の人だったら「俺01入社だけど、君は?」なんて会話も未だに残っている会社も多いもんね。海外では大学を卒業してからすぐに就職しない人も多いし、「年齢で人を評価しない」は、東京を外国人にも住みやすい街とするために重要な視点かもしれません。
ザビナ 私は「お客様は神様」の度が過ぎていると思います。例えば飲食店で、お店はルール通りにサービスを提供しているのに、客の無茶な要望になんでも応えてしまう。
原田 うーむ、難しい問題だね。海外に行くと、安いお店のサービスレベルが低くても誰も文句は言わない。日本は安いお店でもサービスが良いし、そうでないとお客が文句を言う。受け取るお金の額とおもてなしの量が一致していないことを過剰サービスと見るのか、日本の凄さと見るのかは本当に難しい問題ですね。
ザビナ 店員がすぐ「わかりました。はい、そうします」と言う。現場だけじゃなく、上司もそんな感じ。それを聞き入れ続けていたら際限がなくなりますよ。
原田 日本でサービス業に就こうと思う外国人に、恐怖感を与えてしまうかもしれませんね。