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 ちょうどドルが下がり、アメリカ行きの飛行機のチケットは大安売り。ハイジャックされたばかりのこんな時期に、飛行機に乗りたい人はほとんどいなくて貸し切り状態。とてもラッキーでした。私はアリゾナのツーソンへ向けて旅立ちました。さあアメリカでのセカンドチャンス。踊らせてくれることに感謝です。

灼熱のアリゾナにセックスワーカー大集合!

 ツーソンは11月なのに真夏並みの暑さ。古くて素敵なデザインのホテル・コングレスは若い人たちが経営しているようで、クラブでは夜遅くまでDJが入りパーティーが開かれていました。レストランもモダンで従業員のフレンドリーな対応がとても良く、楽しい滞在になりました。それでも初日は散歩をする間もなく、会場のシアターへ直行しました。

野口千佳さん(中)(写真:グレート・ザ・歌舞伎町)

 

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 サンフランシスコでも上映した私の短編作品『ヌードさん日記』の上映。このシアターのエントランスには私が日本で撮りためたキャバレーの写真や、楽屋でのセルフポートレートを展示しました。展示にはスプレー糊を使用するのに、この田舎町には画材屋がありません。スタッフにお願いし、隣町まで行って手に入れてもらいました。この当時両面テープでさえ、英語でなんて言うのかわからず、辞書とジェスチャーであーでもないこーでもない、正解したらピンポーン! こんな、デタラメでお気楽なコミュニケーションでもどうにかなるもので、どうにかオープンまでに間に合いました。

 このイベントのオーガナイザーは、まだ30代のサラ・ジェシカ・パーカー似のテンガロンハットがすごく似合うシングルマザー。スカーレットと同じく大学出の彼女も娼婦でアーティスト。彼女に誘われシアターの近くにあるバーで最高に美味しいホットドッグを頬張りビールで流し込みながら、彼女の横顔を見つめていました。アリゾナの乾いた風にテンガロンハットから覗く髪が揺れていました。潔く、寂しげ、強い意思の見える女っぷり。「いい女とは彼女のためにある言葉だわ」と同年代の彼女に心から賛辞を送りました。

 スカーレットもサンフランシスコから到着し、全米中からセックスワーカーアクティビストが大集合。こんなカルチャーが世の中にはあるのだなと、改めて感心しました。ここでも台湾やサンフランシスコと同じく、みんな温かいのです。