結局いつものように衣装製作は夜中、あるときは朝方ギリギリまでかかり、使用する音楽もベガスへ行く前日にやっと決まりました。いつものことだけれど。ポイントだけ決めて、あとはぶっつけ本番。その方がうまくいくのです。
エキゾチック・ワールドの金曜日の夜は、大御所のレジェンドたちと、歴代のクイーンたちのショーです。私もこの金曜日にレギュラーで出演して、かれこれ4年目になりました。この2006年から会場はラスベガスのダウンタウンにあるホテルとなり、歴代のダンサーのトリビュートショーもスタートしました。「ルチャバブーン」の共演者で2002年に冠をさらったキティン・デヴィルはディクシー・エヴァンスのトリビュートショーでした。ブロンドのピンカールはまさしく蘇る50年代のアイコン。そしてディクシーへの尊敬の意を込めて。彼女には若い頃産んだ娘が3人いて、さらに孫もいるロックな姐さん。家族を作り成功しているバーレスク・ダンサーでもあります。
“バーレスク結婚式”「ブーケとガーターベルトを客席へ」
翌日の土曜日はバーレスク・コンペティションの日。多くのダンサーがその年のクイーンの座を目指します。その合間に私たちの結婚式をステージで行うことになりました。アメリカの結婚式ではフラワーガールというお花を撒く女性たちがつきものですがここはバーレスク。グリッターガールズとしてバーレスク・ダンサーの仲間たちと日本から駆けつけてくれたドラァグクイーンのジャスミンにお願いしました。撒くのはもちろん花ではなく、バーレスク・ダンサーらしくグリッター。ラメの粉です。
花嫁に付き添う大切な役のブライドメイドに、ディクシー・エヴァンスとサタンズ・エンジェルの大御所お2人。そして公証人のポーラとエルヴェス。そして夫となるアルタスがステージで私を待っています。
ピンスポットの光を浴び、この会場中にいる何百人の人々から祝福を受けながら、グリッターガールズと歩きステージへ向かいます。私は感極まり涙がこぼれました。会場にいる人たちの泣き笑顔が見えました。泣きながら「おめでとう」と声をかけてくれるのです。「結婚式をイベントにしちゃえ~」と思いつきで始めてしまったのですが、改めて「これは大変なことかも」と急に現実に引き戻された私もその場にいました。
「汝、なんちゃらかんちゃら、誓いますか?」という映画などでよく見る台詞に、照れ臭さを隠しながら誓い、最後にハグとキスをすると大歓声が起こりました。私はブーケとガーターベルトを客席へ投げました。「次の幸せはあなたの番よ」と。その日の日記にはこう書かれていました。
エロチカバンブーは、ステージで生まれ、生かされ、ステージを通して友人、パートナーを得、そのうえ新たな命までこのバーレスクを通して誕生する。きっとステージの上で一生を終えるんだわ。私の運命。きゃっほ~!!
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