性体験がないもの同士の優良(ゆら)と真(まこと)が結婚し、ふたりが愛情をはぐくみながら、性について学んでいく漫画『ふたりエッチ』(白泉社)。

 97年に『ヤングアニマル』で連載がスタートした同作が、今年で25周年を迎えた。

 作者の克・亜樹氏(60)に、連載までの経緯、風俗などへの取材方法、25年という時の流れのなかで感じた社会の性意識の変容などについて聞いた。(前後編の前編/後編を読む

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――ドキドキさせるだけでなくフムフムとさせてしまう“ハウツー要素のあるエッチな漫画”という『ふたりエッチ』のコンセプトは、いま考えてもかなり画期的だったのではないかと思うのですが。

克・亜樹 担当編集者の方から「エッチな漫画を描かないか」とシンプルに頼まれてスタートしたんですが、僕は少年誌ばかりで描いてきたから、そういうテーマで描いたことがありませんでした。ただ、アクションものを描いても、作中でうんちくを語りたいタイプだったんです。そういう性格もあったし、僕なりの抵抗ではないけど、エッチな漫画を描くのであれば、うんちくやハウツーの要素があるものにしたいと提案させてもらって。編集の方も「だったら、それでいいよ」と言ってくれて、連載が始まったんです。

©克・亜樹/白泉社

――その頃、『ふたりエッチ』のような作品は他には?

克・亜樹 なかったですね。ただ、あっても「漫画でわかる」みたいな図解的なもの。そういうのを読むたびに、物語を入れれば漫画になるのになぁとは思っていましたね。

 あと、同じ白泉社の『動物のお医者さん』とか、扱うテーマは違うけど、物語の要所要所に解説を挟む漫画もあったのでイケるかなとも。それぐらいの気持ちで取り掛かりました。