昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「セフレから恋人へのステップアップってかなり難しい」 “性こじらせ男女”を描いたマンガ家が考える“結婚観”

いつまちゃんインタビュー#2

2021/10/23

 ブラック映像制作会社で働く、性に奔放なこじらせ男女の日常をコミカルに描いたマンガ『来世ではちゃんとします』。ドラマはシーズン2まで放映され、大人気となっています。作者のいつまちゃんに、作品誕生の経緯や、セフレと恋人の違いについてお聞きしました。(全2回の2回目。1回目を読む)

◆ ◆ ◆

【マンガ『来世ではちゃんとします』を読む】 

 

来世ではちゃんとします』とは…

高円寺の映像プロダクション(株)スタジオデルタで働く5人は、性的にこじらせたメンバーばかり。5人のセフレがいる性依存系の大森桃江(27)、彼氏いない歴=年齢のアセクシャルでアロマンティック(他者に対して性的欲求も恋愛感情も抱かないセクシュアリティ)女子・高杉梅(27)、女性を情緒不安定にするメンヘラ培養沼・松田健(26)、トラウマから処女しか愛せないセカンド童貞・林勝(26)、風俗嬢にガチ恋愛中の檜山トヲル(29)。性に奔放な男女の日常の行方を描くコメディマンガ。

漫画家にまさか自分がなれるとは

──マンガを描き始めたきっかけは「失恋」と「絶望」からだったそうですね。

いつまちゃん そうなんです。大学4年生の時に、付き合っていると思っていた男性に実は本命の彼女がいることがわかり、心が破壊されました。しかも就活もうまくいかず、焦りと絶望から半ばやけくそで卒業制作に失恋のルポマンガを描き始めたんですけど、これが結構おもしろく描けたんです。毎日ザワザワして眠れなかったのが、憑きものが取れたようにすとんと眠れるようになって。「これって、昔倫理の授業で習った“防衛機制”の中の“昇華”だよな」と思い、すごく心が軽くなりました。

 私は美大の油画専攻だったので、マンガが卒業制作として許されるのかどうか不安はあったんですけど、「心の叫びこそ私の表現したいものだ」と情熱のままに描きまくり、最後は立体展示にして仕上げました。評価はBでしたが、国立新美術館で開催された卒業制作展示ではかなり評判がよく、私の展示の前に人だかりができるくらいでした。それを見て、もしかしたら自分にはマンガの才能があるのかも…なんて思ったんですけど、「漫画家になろう」とは思いませんでしたね。漫画家は売れっ子タレントと一緒で、ごく限られた人だけ仕事に出来ると思っていたので、まさか自分がなれるとは、考えてもいませんでした。

終電で帰る日も根性で一日一作描いて投稿して…

──でも、就職してからもマンガは描き続けていらしたのですよね。

いつまちゃん そうですね…。就活がボロボロだった悔しさもあって「私にも何か光るものがあるはずなのに!!!」と反骨心で毎日描いてましたね。漫画家になりたくて…というよりは一人でも多くの誰かに私の作品を知って欲しかったのかも。

 仕事から終電で帰る日も根性で一日一作描いて投稿して…でもイイネが数件つけば良い方で…鍵垢自分で4つくらい作ってセルフいいねしてた時もありました(笑)。そんなガムシャラな日々を半年ほど続けてたら、「セフレちゃん」がバズってくれてフォロワーが急増し、今の担当編集さんからオファーを受けて連載につながりました。当時無名だった私にくださった、誰かのいいねとリツイートのおかげで今があります。初めて作品がバズったときの感動は今でも忘れません。

関連記事