――『ふたりエッチ』のどういった部分が支持され、ここまでの長寿作品になったと考えていますか?
克・亜樹 登場するキャラクターたちの魅力に尽きるんだろうなと。あとは、読者の「知りたい」に応えているからじゃないですかね。「勉強になりました」「知らなかったです」という反応は多いですから。ただ、情報や感覚は変わっていきますから、率先してアップデートはしていきたいですよね。
――正直、連載をやめようかなと頭をよぎったりは?
克・亜樹 30巻が出た頃に、でっかい波が来て「もう限界!」ってなりました。その後も大きな波は何度も押し寄せましたけど(笑)。作家なので、新しい作品をどんどん描いていきたいんですよね。『ふたりエッチ』は隔週連載で月に2本なので忙しいし、そこへ「あれも描きたい、これも描きたい」と悶々とすると頭がパンクしそうになります。アシスタントを食べさせていかなければいけないので、簡単にやめると言い出せない状況ではありますけれども(笑)。
登場人物の“今後”に対する責任
――「終わらせよう」と「続けよう」の両方が克先生のなかにある。
克・亜樹 しっかり描いていこうとは思っています。「こんな感じで終わらせていいかな」と考えたこともあったんですけどね。優良さんたち以外にもたくさんキャラクターがいるので、その子たちの今後に責任を持たないと。といっても、ただ単に全員を幸せにしようという意味じゃなくて、読者に各キャラクターの抱えるテーマをどう認識してもらえるかを突き詰めていきたい。
みゆきちゃんや泉ちゃんの話が終わったら、その子が持っているテーマを追うことも終わるわけです。そこで読者に対して、なにを残せるか。それを考えたら、最初に想定していた各キャラクターの結末、『ふたりエッチ』自体の結末よりも、もうちょっと踏み込まないと読者の方々に対して真摯じゃないなと。そう考えて一生懸命描いているうちに、気付けば25年も続いていた、という感じです。