許容範囲は自分で決める
「男はみんなセックスしたいもんだ!」。ぼくが訪れた学校で、ある男子が言った。クラスのみんなもうなずいて笑う。
「じゃ、それはチャンスがあれば、誰とでも寝るってことかい?」とぼくは聞いてみた。
「いや、誰とでもってわけじゃない、たぶん……」と彼は答えた。
男性的ジェンダーロールによれば、男はいつも性欲でギラギラしているらしく、そのせいで、みんな無意識のうちに誰とでもセックスしたいフリをしている。でも、男の子だって女の子と同じように、感情や意見、そして好みだってある。それに、疲れているときや、悲しいとき、怒りの感情が強いときなんかはエロい気分にならないこともある。セックスじゃなくて、会話や、お互いを知っていく過程を楽しんでいるときだってある。
きみがどんな人にも興奮するわけじゃないし、あらゆるセックスに興味をもつわけではない。セックスにまったく興味がないときもあるだろう。
男として生きていると、セックスすることで一目置かれることがあるかもしれない。それゆえ、セックスに誘われたら、すべてに「イエス」と答えるべきだと感じるだろう。だけど、もし気分があがってこないんだったら、そのセックスはやめておいたほうがいい。からだにわいてくる感覚は、性的興奮、高ぶり、不安や恐怖となって表れる。感情と理性が、時に対立することもある。たとえば、「うわっ! この子めっちゃかわいい! 誘わなきゃ損だよな……」なんて考えながらも、こころの内では「ノー」ってこともある。気分がのらない、そんなときは、自分の本心に従って「ノー」を言うんだ。
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