今年からよい物件に出会う確率がアップする中古マーケット
コロナ禍で国も大盤振る舞いをした。そのツケはやがて増税という形で庶民生活に降りかかる。早ければ夏の参議院議員選挙後にも消費税などの値上げが議論されてもおかしくない。
実需層はこうした動きを冷静に見ながらの住宅購入を考えればよい。今年から、団塊世代が後期高齢者の仲間入りを始める。75歳以上となれば、どんなに元気な世代でもそろそろお迎えが来る人がでてくる。今年からの数年間は、首都圏でも大量相続時代の幕が開ける。多くの住宅が賃貸や売却に出てくる可能性は高い。中古物件を丹念に物色するとよい物件に出会う確率はこれまでよりもはるかに高くなるのが今年からの中古マーケットだ。
税制の恩恵の縮小や生活コストの上昇は、今年の新築マンションなどの住宅需要を冷やす可能性が高い。自分たちの見栄や投資、節税が目的化している富裕層や投資家と実需で買い求める層とは全く別のマーケットなのだ。昨年まで続いたマンション宴も今年はその正体が顕在化する1年となりそうだ。
今年を起点に通用しなくなる「成功の方程式」
最後に今年復活するのが、宿泊・観光マーケットだ。コロナによって押さえつけられてきた需要は、今年は大きくリバウンドしそうだ。Go Toは旅行会社などの業者救済策であり、この施策を行わなくても需要は十分に跳ねるだろう。インバウンドは完全に回復するまで2年は必要だ。海外に出かけづらい状況下で、国内観光は大いに栄えそうだ。
いっぽうビジネス宿泊については、一部がオンラインに代替された影響は深刻だ。ビジネス需要の減少でビジネスに特化したホテル、旅館などの苦戦は続く。中には業態転換を余儀なくされるビジネスホテルも出てきそうだ。
これまでの成功の方程式が、どうやら今年を起点に通用しなくなる可能性が高いのが不動産マーケットである。そしてこの傾向は来年、再来年とさらに強まっていくだろう。よろしくないのは、過去の方程式に拘って「まだ大丈夫」などといった不確かな確信、昭和平成の余熱で世の中を考えてしまう思考停止だ。今年は転換点にあったとあとで考えても取り返しはつかないのだ。