では、どうすれば信頼できる情報に出会えるのでしょう。残念ながら、グーグルで上位に表示されても、信頼できる情報とはいえません。
まず、大事なのは、「ネット上の情報はすべてが正しいわけではない」という当たり前の認識を前提とし、主治医に対しての補完的なものと位置付けることでしょう。その上で、がんのサイトを見たら、まず「その情報は誰が出しているか」を確認することです。
特定企業など営利団体のサイトは、当然のことながら広告です。そこには「分かりやすい解説」「求めている結果」が掲載されていますが、正しい治療である保証はありません。
また、医療機関が設置したサイトでも、多くは病院やクリニックの宣伝目的で作られていることを割り引かなくてはなりません。「治療法がないと言われた方」「余命を言われた方」に対して「あきらめない治療」として目新しい治療法を勧め、改善した「症例」を並べているサイトが多くあります。自分で検索して辿り着いた医療機関ですから、望む治療に近いものが紹介されているでしょうが、それが自分にとって適切な治療法かは別問題です。
また、日本では特に、患者や家族が立ち上げた闘病記サイトが多くあります。がんになった患者が同じ体験をした人々の声を求めるのは当然です。ただ、がんという病気は特に、「○○がん」と病名は同じでもその経過は様々です。私は患者に「一人一人のがんは、患者さんの顔がみな違うように、それぞれ経過は違います」と説明しています。病名が同じだからすべて自分に当てはまるとは限りません。また、読み進めると、最終的に高額の民間療法を勧めるサイトなども存在します。
信頼できる代表的なサイトを挙げれば、国立がん研究センターのがん対策情報センター「がん情報サービス」(http://ganjoho.jp/)は、標準的な治療法から心のケアまで紹介されています。「がん情報サイト」(http://cancerinfo.tri-kobe.org/)は、米国国立がん研究所(NCI)のがん情報データベースの日本語版などを配信しています。私も理事を務める「キャンサーネットジャパン」(http://www.cancernet.jp/)では、医師や専門家のがん別の解説から、患者の体験談までビデオ映像で見ることができます。
これらのサイトには、関連情報や関係機関、患者団体などへのリンクも張られています。代表的なサイトを「ハブ」にしながら、リンクなどを辿って情報収集するのが確実です。