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「ブラックですか? う~ん…」フランチャイズオーナー歴約30年の男性(56)が明かす“ワークマン”経営のリアル

『ホワイトフランチャイズ ワークマンのノルマ・残業なしでも年収1000万円以上稼がせる仕組み』より #1

2022/01/12
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新しいものを積極的に取り入れる

 止めてしまったら先に進めない──。

 この言葉に象徴されるように、変化をおそれず、新しいものを取り入れていけるのが瀬川さんなのだろう。

 担当SVによれば、周辺地区でも商品の知識は断トツなのだそうだ。昔からある商品だけでなく、新しい商品のこともよく学んでいる。そのため、お客さんの質問に曖昧に答えることはなく、常に的確に答えられる。他店舗の店長にも頼られていて、問い合わせを受けたりアドバイスを求められることも多いそうだ。

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 店舗用のiPadを導入した際にもすぐに対応したように新しいものに対して腰が引けることもない。そういう姿勢があるからこそ売上げを伸ばしていけたのだろう。

 うちは昔ながらのやり方が合っているから、という人もいるかもしれないが、そういう姿勢でいたのでは、前進できないどころか後退していく一方になる。

「昔に比べてデータが重視されるようになったことについてですか? それが時代の流れなんでしょうし、戸惑いはなかったですね。昔のようなどんぶり勘定に近いやり方を続けているより、先が見えやすくていいことだと思いますよ。データがない時代は、SVも店内を目で追って対応してたのに、いまはデータにもとづいて話をしてくれる。データをどう活用するかは自分次第になりますね。ただ最近は商品の注文が意のままにならないところもあって、もどかしいです。ワークマンの想定以上の人気によって一部の商品は数が足りず、入れられないことがあるんですよ。お客さんの求めに応えられないことがあるので、そこはちょっとつらいですね」

 そう言う瀬川さんは冗談めかしてこうも続けた。

「これまで、ワークマンをやっていて嫌になることはなかったんですけど、最近になってむしろ疲れました(笑)。ワークマンプラスが出てきたあと、通常のワークマンで扱う商品も変わって、急激にお客さんも増えたことで忙しさの質が変わりましたから」

これから「2回目のオープン」を迎える

 そんな北上常盤台店は、この秋、600メートルほど離れた場所に移転してワークマンプラスとして生まれ変わった(今回の取材は移転前)。

 瀬川さんなら旧店舗のままでもさらに売上げを伸ばしていけると考えられていたが、建物が老朽化してきたので、移転しての業態転換に踏みきるのがいいのではないかと考えられたのだ。

「店そのものが変わって、商売のあり方も変わっていくのかなという寂しさはたしかにあります。でも、地域が変わるわけではないので、これまでのお客さんは来てくれるだろうと思ってるんです。変えるところは変えて、変えないところは変えない。そういうやり方でいても、新しいお客さんは増えていくと思うし、そこはしっかりと取り込んでいけるようにしたいですね。その先は未知の世界ですけど、未知の世界に飛び込んでいく怖さはないです。最初にワークマンを始めたときも未知でしたから。2回目のオープンを迎えるんだな、と。そういう感覚ですね」

 古くからのワークマンを知り、変化の過程を見てきた店長がどんなワークマンプラスを展開してくれるのかは楽しみだ。

「次の契約ですか? 自分では再契約するつもりだし、やれる限りはやっていきたい。行けるところまで行ってみようかな、と思ってやっています。娘が本気でやる気になったなら、あとを託すことを考えてもいいですが、それについては本人次第ですね」

 ワークマンの歩みをよく知る瀬川さんには、これからワークマンをやろうと考えている人、やろうかどうかと悩んでいる人へのメッセージもお願いした。

「ここまでやってきて、私自身はよかったと思ってますからね。これからやろうかと悩んでいる人がいるなら、『ぜひやってください』としか言いようがないです。誰でもできますよ、という言い方をしていいのかといえば、そんなに簡単なものではないはずですけど……。やる気を失わず、その先どうしていくべきかをそのつど自分で考えながらやっていくようにできるなら、始めてみてもいいんじゃないかと思いますよ」

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