2021年、29歳の若さにして、アジア人初となるマスターズ制覇の偉業を達成したプロゴルファー・松山英樹氏。そんな同氏が、生い立ちから選手として歩んだ道のり、ゴルフへの熱い思いを初めて綴った著書の売れ行きが好調だ。
「企画のきっかけは、2017年の全米プロ。最終日の後半に逆転負けした松山選手は、悔し涙を流していた。あまり感情を表に出さない印象の彼の内側に、熱い思いを垣間見ました。そこからアプローチし続け、マスターズ優勝をきっかけに約3年越しのオファーを受けていただきました。本の制作が始まり、まず驚かされたのは、その記憶力。過去の試合のショットを、どのような状況で、何を考えて打っていたかを詳細に覚えていました」(担当編集者の苅部達矢さん)
数々の偉業を成し遂げながらも、謙虚な姿勢が本の内容からうかがえる。
「当初、自己啓発やビジネス書的な構成を提案しましたが、『自分はまだゴルフすら確立できていないのに、人生をこう生きろなんてことは言えません』とのことでした。そうした誠実な人柄や内に秘めた熱さが、王貞治さん、北野武さん、伊集院静さんといった各界のトップや、ゴルフをやらない若い層にまで響いている印象です。人が生きるということはどういうことなのか。それを問う作品だと自負しています」(苅部さん)
2021年8月発売。初版3万部。現在5刷6万部(電子含む)