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 プロ野球では昨年、入団2年目のこの年代の選手たちの活躍が目立った。オリックスの25年ぶりの優勝には、開幕より先発投手としてローテーション入りし、13勝・防御率2.51の成績を収めてパ・リーグの最優秀新人賞に輝いた宮城大弥(8月25日生まれ)のほか、遊撃手としてレギュラーに定着した紅林弘太郎(2月7日生まれ)が貢献したところも大きい。

「令和の怪物」佐々木朗希も新成人に

 一方、セ・リーグの覇者で、20年ぶりに日本シリーズを制したヤクルトでは、奥川恭伸(4月16日生まれ)が9勝・防御率3.26でチームの原動力となった。シーズン終了後には連盟特別表彰で新人特別賞も受賞している。

奥川恭伸 ©文藝春秋

 さらにこの年代には、岩手・大船渡高時代に163キロの豪速球を記録し、「令和の怪物」の異名をとった佐々木朗希(11月3日生まれ)がいる。

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 ロッテに入団した佐々木は昨年、2年目にしてプロ初登板し、シーズン11登板して3勝と勝ち星は伸びなかったが、クライマックスシリーズ初戦では先発に抜擢、堂々とした投球を見せ、来季に希望をつなげた。本人としても、《今年はパフォーマンスも自分の感覚も右肩上がりで、そこはチームとしても個人としても準備してきたことだったので、形になってよかったと思います》と手応えを感じた1年だったようだ(『Number』2021年12月16日号)。

大船渡高時代の佐々木朗希 ©文藝春秋

危機の時代に20歳になった若者たち

 今年の新成人のうち、現役で大学に入った学生たちは、一昨年の春、入学直前に緊急事態宣言が発せられ、長らくリモート授業を余儀なくされた。前出の橋本大輝も、順天堂大に入学したものの、コロナの影響で思うように練習ができず、その年12月の全日本個人総合選手権では5位に終わった。しかし、ここから体操ととことん向き合い、監督やコーチと戦略を練って明確な目標を定めたことが、昨年のオリンピックの金メダルへとつながったという。

 危機の時代に20歳という人生の節目を迎えたからこそ、この世代は大きな可能性を秘めているともいえる。もちろん、いまはまだ逆境のただなかにある人もたくさんいるだろう。しかし、橋本がそうだったように、苦しんだ経験はのちのちきっと大きな糧となる。そう信じて、どうか乗り越えてほしい。