自由通路を西に向かえばご存知ラゾーナ川崎だ。駅ビルにはおなじみアトレも入っているし、東口の駅前広場の地下には川崎アゼリアという地下街まであるから、まったく食事やショッピングには事欠かない。川崎駅やその周辺で暮らしたり働いたりしている人は、何はなくとも川崎駅にやってきてその後のプランを練ればいい。このあたりはさすが、天下の人口150万都市のターミナルである。
もちろん、そんなターミナルだから自由通路の人通りが途切れることはない。周辺でいちばん新しく大きい施設がラゾーナ川崎だから、ラゾーナに向かう流れが中心なのかと思ったが、必ずしもそうではないようであちらこちらから人が流れてくる。ちょうど訪問したのが年末ということもあるのかどうなのか、その賑やかさはナゾ駅などとはとても呼べないレベルである。
ラゾーナのすぐ裏手には赤くきらめく看板が!そこに書かれていたのは…
ラゾーナ川崎のある西口側にまず足を向けてみよう。人の流れに乗っかるとそのままラゾーナの中に入ってしまうのでちょっと抵抗してバスロータリーを取り囲むペデストリアンデッキに逃げ出した。ラゾーナからロータリーを挟んで南側にはミューザ川崎という施設。シンフォニーホールも入っていて、“音楽のまち・川崎”のシンボルのような存在なのだという。
このミューザ川崎の前のデッキには、横に傾いたレンガ造りの壁がある。誰もこのレンガ壁に目をとめず、その脇のベンチに腰掛けて待ち合わせをしたりしている。が、このレンガ壁はかつて国鉄の川崎変電所の外壁で、川崎市内では最古の赤レンガ倉庫だったという。1999年に解体されたが、2009年にオブジェとして復元されたものだ。意外なところに、川崎の“鉄道遺産”があるものだ。
ペデストリアンデッキからラゾーナ方面を見ると、ラゾーナのすぐ裏手には「TOSHIBA」と赤くきらめく看板が。覚えている人は覚えているだろう、ラゾーナ川崎はもともと東芝の工場だった。
東芝に明治製菓…工業都市「川崎」は100年前から
川崎というと、工業都市というイメージを抱く人も多いのではないかと思う。むろん、今でも工業都市としての側面は大きく、東京湾沿いの埋め立て地にはいくつもの大規模工場が建ち並んでいる。そして一昔前までは、ターミナル・川崎駅の周辺も工場だらけであった。その筆頭が、ラゾーナの前身・東芝川崎事業所だ。