液体状の糖質は悪魔の食品です
同じ糖質でも、食べたものの種類によって血糖値の上がり方に差が出ます。
図表4のグラフを見てください。
ご飯やパン、麺類はまだ上昇カーブが穏やかです。砂糖が入った甘いお菓子類は、早く血糖値が上がります。
そして、最も急激なカーブを描くのが缶コーヒーやジュースなど液体のものです。すでに液体になっている糖質は、胃で消化する必要がなく、すぐに小腸に運ばれるため、口に入れてから30分後には吸収されブドウ糖が血液中に溢れるのです。
そして、血糖値が200近くまで急激に上がる「血糖値スパイク」と呼ばれる状態をつくりだします。急な坂を登ったら降りるときも急なように、血糖値スパイクを起こすと、その後、血糖値はどんどん降下し、2時間後には70を切ることがままあります。
コンビニや自動販売機で簡単に手に入る糖質たっぷりの炭酸飲料やジュースが、いかに危険な飲み物か。まさに悪魔の食品です。
それを理解してもらうには、鹿児島県で行われた「ブドウ糖負荷試験」の実験結果がとても参考になります。
前にも述べたように、健康診断で空腹時血糖値やヘモグロビンA1c値に異常が見られれば、次にブドウ糖負荷試験という検査をします。空腹状態で七五グラムのブドウ糖を溶いた液体を飲み、その後120分間の血糖値の変化を見るというものです。
図表5、6にあるように、一定の時間を経過した段階で血糖値が基準値の140より高ければ糖尿病と診断されます。ただし、この検査では120分後までしか観察しません。
ところが、鹿児島県の今村病院分院(現・今村総合病院)などが、ボランティア26名を対象に300分後まで追跡調査を行った結果、大変に興味深いことがわかりました。120分までの観察では健康だと診断される人々(若者も含まれます)の中にも、150分、180分と経つと、血糖値が55、58など非常に低くなる人がいたのです。
彼らは、あくまで実験に参加したボランティアであり、この機会がなければ自分がそんな低血糖に陥っているとは知ることができませんでした。
先にも述べたように、血糖値が70を切ると不快な症状に悩まされ、脳からの指令によって糖質を摂らずにはいられなくなります。つまり、55や58などという数値を示した彼らは、立派な糖質中毒だったわけです。