人はどうして太ってしまうのか。そして、なぜ痩せられないのか。それは私たちのせいではありません。知らず知らずのうちに、脳内が糖質に侵されて「糖質中毒」になってしまったからです。では、何を食べてよくて、絶対に食べたり飲んだりしてはいけないものは何なのか、さらにはどのような食べ方をすると効果があるのでしょうか。

 そのヒントは、糖尿病専門医である牧田善二先生による『糖質中毒 痩せられない本当の理由』(文藝春秋)に書かれています。ここでは、同書より一部抜粋して、「糖質中毒」の知られざる怖さについて紹介します。(全2回の1回目/後編を読む)

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野菜ジュースや果物ジュースも体の中で悪さをします

「朝食代わりに野菜ジュースを飲んでいるのですが、通勤電車の中で気持ち悪くなってしまうことがよくあります」

「ランチを摂った後は眠くて仕事になりません。食べ過ぎないように蕎麦で軽く済ませているのにダメなんです」

「すぐにお腹が減ってしまいます。大盛りご飯を注文してしっかり食べておくのに、2時間もするとまた食べたくなって困ってしまいます」

 こんな話をよく聞きます。まさに、糖質中毒の典型的な症状です。

 ご飯はもちろん、いかにも健康に良さそうな野菜ジュースや果物ジュースや蕎麦にもたっぷり含まれる糖質が、彼らの体の中で悪さをしています。そして、さらに糖質を摂らずにはいられない状態になっているのです。

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 糖質中毒を読み解くキーワードは「血糖値」です。あなたも、健康診断で測定されていることでしょう。

 ここに紹介したような症状に襲われているとき、彼らの血糖値はジェットコースターのように急激な「上昇・下降」を起こしています。

 たとえば、「これだけで1日分のビタミンが摂れる」などとうたう野菜ジュースには、果汁や砂糖がたっぷり入っています。起き抜けの空腹時には血糖値は下がっており、そこで、糖分たっぷりのジュースを飲むと、血糖値が一気に上がります。

 血糖値が下がっていたときはぼーっとしていたのが、上昇すると一時的に元気になります。そこで、「やはり朝はこのジュースがいい」と思うわけです。

 ただし、血糖値が上がりすぎれば昏倒して死んでしまうため、膵臓からインスリンというホルモンが出て、高くなった血糖値を下げるように私たちの体はできています。このとき、血糖値の上がり方が急激であれば、インスリンも大急ぎで大量に分泌されます。すると、今度は血糖値が下がりすぎてしまうのです。