血糖値が大きく下がり70(単位は㎎/㎗、以下略)を切るようになると、動悸、吐き気、イライラ、眠気、強い空腹感、めまい……などの不快な症状に襲われます。すると、脳は「また血糖値を上げたい」と考え、糖質を摂るように体に命じます。そして、脳の思うままにまた摂ってしまうわけです(図表2参照)。
実際に、仕事中に眠気を感じたらエナジードリンクや缶コーヒー、炭酸飲料を飲む人は多いでしょう。それによって下がった血糖値がまた急激に上がるため、一瞬だけシャキッとします。でも、急激に上がった血糖値は急激に下がり……と体の中で同じことを繰り返しているのが現実です。
言葉は悪いですが、脳の中で、「ヤクが切れた。もっとくれ」が行われているのであって、まさに中毒なのです。
もちろん、「糖質をまったく摂るな」などと言うつもりはありません。すぐにエネルギーとなる糖質を必要量摂取することは、いい仕事をする上でも大切です。しかしながら、その「必要量」を遥かに超えた量を多くの人が摂っており、血糖値を急上昇させ、その後の急降下でまた糖質を欲するという中毒に陥っています。
「かけ」や「もり」は危険、知識不足が糖質中毒を悪化させます
炭水化物は脂質やタンパク質などと一緒に食べたほうが血糖値の上昇がおだやかになります。つまり、同じ茶碗1杯のご飯を食べるときに、ふりかけだけで食べるより、豚肉の生姜焼きを添えたほうがいいのです。
同様に、うどんや蕎麦なら、具のない「かけ」や「もり」は最も血糖値が上がりやすい、すなわち糖質中毒になりやすい食べ方です。
糖質中毒になりやすいというのは、イコール太りやすいとも言い換えることができますが、多くの人は反対のことをやっています。
「かけやもりのほうが、カロリーが少ないから太らないだろう」
「健康のために、胃にもたれる油ものなどは食べないでおこう」
こうして、とくに忙しい仕事の合い間に摂る昼食は、麺類やおにぎり、惣菜パンなどで済ませる人が多いのです。その結果、血糖値の急上昇・急降下を呼び、「午後は眠くてたまらない」となるわけです。
炭水化物に偏った食事によって多くの日本人が気づかぬうちに糖質中毒に陥り、仕事のパフォーマンスを落としたり、健康を害しています。
あなたをそこから救うのは、正しい知識をおいてほかにありません。
糖質の多量摂取はDNAに反しています
普通に真面目に生きている人たちは、中毒性があるとわかっている違法薬物などに手を出しません。合法的なタバコだって「できればやめたほうがいい」と感じているでしょう。
そもそも、違法薬物やタバコは生きるために必要のないものですから、「中毒にならないでいる」ことは容易です。最初から関わらなければいいのです。