「今日も一日痛いのか」と思いながら目が覚める辛さ
――どのような不調が出ていたんですか?
水凪 症状としては体の節々が痛くて、腕がズルッと抜けそうに痛いんですよ。とくに朝は「今日も一日痛いのか」と思いながら目が覚めるという一日のなかでいちばん辛い時間で、かといって夜も別に楽にはならないという、どこにも逃げ場がない状態でした。
――不調は何が原因だったのですか?
水凪 シェーグレン症候群という指定難病だったんですが、病名がわかるまでに5年もかかりました。病院に行ってもレントゲンには異常がないので、「歳のせい」と一蹴されたり、「本当の腱鞘炎はこんなものじゃない」と説教されて帰されたりしていたんです。
漫画家という仕事柄、あまり人に会わなくても仕事ができるので、つらかったですが〆切は守って漫画を描き続けていました。
「シェーグレン症候群」診断名がついたことにホッとした
――病名がわかった時は、どのようなお気持ちでしたか?
水凪 まずは「診断名がついた」ということに、ホッとしました。一生付き合わなければいけない指定難病ではありますが、このまま原因もわからず寝たきりになって死んでいくんじゃないかと思っていたので、安心したというか。
でも、病名がわかったのは偶然なんです。足腰が痛くて整体にも通っていたのですが、ある日整体の先生に「両手の中指が痛いというのはリウマチの症状に似ているので、詳しく検査してもらったら」と教えていただき、あらためて病院で検査したところ、異常な数値が見つかり、シェーグレン症候群だということがわかりました。
それまで私がいくら「痛い」と訴えても、「年齢のせい」と言われていたのに「数値が出た!」と喜んでいたのは複雑な気持ちでしたが、原因が特定できたことで、痛みの対処法がわかったのは嬉しかったです。
この病気には残念ながら治療薬もなく、対症療法しかないんですが、モノを持たないことで体の節々が痛むのを避けることができるので、「ティッシュペーパーより重いものは持たないで」と医者から言われています。
――キャリーカートを使うなどの工夫で重いものを持たない生活に変えるということですか?
水凪 買い物で荷物を持ったり、ショルダーバッグを肩に掛けたりしていたことが原因で痛みを悪化させてきたようなので、ウエストポーチを使い、ウエストで固定できる登山用リュックを持つようにしたら体の痛みが少なくなりました。いつも買い物に行くスーパーでは「登山のリュックの人」と陰の有名人になっているかもしれません(笑)。