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「まったく薬膳が出てこない回があってもいい」と言われ救われた
――薬膳というと、「難しい」「面倒」というイメージもあります。薬膳の知識やレシピなどをどの程度入れ込むかなどの配分は、どうやって決めているのですか?
水凪 薬膳の知識やレシピに関しては、もともとストーリーが止まるほどは入れたくないと思っていました。
『フォアミセス』では、国際中医師の資格を持つ麻木久仁子さんが「暮らしに薬膳」というコラム連載をされていて、本格的に興味のある方は麻木さんのコラムを読めば大満足いただけるという恵まれた状況にあるので、「まったく薬膳が出てこない回があってもいい」と言っていただき、救われました(笑)。
結局、自分自身をふり返ってみても、勘違いでもいいから描いている人が「これは面白い」と思えるかどうかが大切かなと思っています。なので、とても幸運な出会いでした。
思ったことをそのまま描けることが嬉しい
――『しあわせは食べて寝て待て』の連載で、いちばん楽しいと感じるのはどんなことですか?
水凪 何より嬉しいのは、自分が思ったことをそのまま描けるということです。
『しあわせは食べて寝て待て』の主人公・麦巻さとこさんは私と同じ膠原病ですし、ニートの司くんや引きこもりの八つ頭さんなど、いままで受け入れてもらえないことも多かったり、出てきてもほんの脇役で終わったりしていたような登場人物たちです。でも、病気や社会性で苦しい思いをしている人たちだって毎日苦しいわけではなく、少しは楽しい気分になる日だってあるんです。そんな日常を描けることが私自身、とても楽しいです。