「疲れが短時間でスーッと抜ける」「びっくりするほど体が軽快に動けるようになる」と評判を呼ぶ、元鹿島アントラーズのトレーナーで鍼灸師の小池謙雅さん。初の著書『疲れて「もうムリ!」と思った時にすぐ動ける!トリガー体操』には、アスリートたちとの現場から生まれたシンプルかつ強力なメソッドが満載。芸能人やスポーツ選手たちからも厚い信頼を寄せられる、唯一無二の体のメンテナンス法に迫った。

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――近年、どんな体のトラブルが増えていますか?

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小池 コロナ禍のなか患者さんの傾向が明らかに変わってきて、腰痛と首こり・肩こりが著しく増えました。顔の表情がくもりがちで血色の悪い、鬱っぽい人も多い。これは長時間のデスクワークと運動不足からくる単なる慢性疲労とはちょっと違います。

元鹿島アントラーズのトレーナーで鍼灸師の小池謙雅さん

筋肉・筋膜に“シャウエッセンの皮”のような〈弾力と潤い〉を取り戻すことが肝心

 いわば、全身の筋肉が凝り固まって“ビーフジャーキー化”している方が非常に多く見受けられます。

――筋肉が干からびている!?

小池 まさにそんなイメージです。人間の筋肉は使いすぎても、使わなさすぎても、柔軟性を失い、血流不足で潤いを失って硬くなります。それが続くと、筋肉と筋膜の境目にできる硬いしこり「トリガーポイント」が形成されます。これが痛みやさまざまな不調の大きな原因になるんです。筋膜とは筋肉の束を包む透明なフィルムのように見える膜のことです。

 筋肉の固さって、意外に自分では自覚しにくいもの。たとえば「ゆったり息をしてみてください」といっても、肩が上がりっぱなしで縮こまっている人が多くいます。肩をストンと落としてゆるませて、横隔膜を大きく使った呼吸ができないんです。

写真はイメージです ©iStock.com

 とくにデスクワーク中心の仕事の方は、パソコンを打つときに猫背や巻き肩で、顎がつき出た姿勢で、首や胸、背中の筋肉がロックされた状態で作業しがち。しかもマスクをしていることが多いから口をぽかんと開けたまま、浅い口呼吸になってしまっている。すると交感神経がオンになったままなので、つねに全身が「過緊張モード」で筋肉がゆるまず、ますます「トリガーポイント」の形成が進むという悪循環に陥ります。

――それって腰痛にも繋がってきますか?

小池 長時間悪い姿勢で座っていたり、椅子の高さが自分の体にあっていないと、骨盤が寝た姿勢でロックされます。腰回りの筋膜が硬くなってすべりが悪くなると、腰が伸びなくなります。筋膜はお尻から太もも、股関節や背中にもすべて連動しているので、体のあちこちに腰痛の原因となるトリガーポイントがつくられてしまう。

 この痛みの原因を取り除くには、「トリガーポイント」を破壊して、筋肉・筋膜に“シャウエッセンの皮”のような〈弾力と潤い〉を取り戻すことが肝心です。