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マッサージで血流がよくなっても一時的

――不思議と腰まわりが軽くなってきましたね。

小池 トリガーポイントにアプローチしたことで縮こまった筋肉・筋膜の血流が一気に改善されているんです。新著『トリガー体操』は、流れで組み合わせてやると一番効果の高いメソッドを紹介しているので、ぜひ日々実践してほしいと思います。3~4週間続けると、びっくりするほど代謝がよくて“疲れがとれやすい”動ける体になっていきます。

『トリガー体操』

――いわゆるマッサージとは全然違いますね。

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小池 マッサージで血流がよくなっても一時的です。あとマッサージを受けたあとは弛緩して動く気がしないものですが、トリガー体操は痛みの根本原因を取り除いて、体の内部から活性化するので、筋肉に柔軟性を取り戻しつつも「集中できる」「バッと動ける」覚醒度の高い状態にもっていくことができるんです。

 これは、アスリートたちとの現場ならではのニーズから生まれた治療法です。僕は2007~2012年の6シーズンにわたって鹿島アントラーズのトレーナーを務めましたが、試合中たとえばハーフタイムのわずか10分ほどの間で選手たちの体のコンディションを整えなくてはなりません。このときマッサージで体を弛緩させてしまっては後半使い物にならなくなるわけで、疲れていても即「戦える体」にする必要がありました。

――確かにリラックスしきってしまっては試合になりませんね。

小池 この時、飛び道具的なアプローチとして使っていたのが、「トリガーポイント」への刺激だったんです。当時はまだこの言葉もあまり知られておらず、僕は現場での積み重ねから、筋肉の可動域を一気に改善したり痛みをとったりする筋膜へのアプローチ法として磨きをかけていきました。

 飛び道具のなかでも最強の方法が本書でも紹介している「ヒラメ筋トリガー」です。天皇杯の試合で、ある精神的支柱の選手が不調で、前半1-0で負けていたことがありました。ハーフタイムで上がってきたその選手が「足がパンパンでなんか動けないんだ」と訴えました。監督も心配そうに見守るなか、僕はヒラメ筋を中心に、汗だくになってトリガーポイントの破壊に集中して治療しました。あっ、手応えがあったぞと感じた瞬間、その選手が「OK! 楽になった」と言ったんです。後半、その選手は劇的によい動きをして見事試合を勝利に導きました。チームはそのまま決勝に進んで、優勝のタイトルを獲ることができました。