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疲労を上手に取り除くことは、人生の充実度に直結する

 プロスポーツの現場の積み重ねから、ハイパフォーマンスを生むこの強力な治療法をもっと広く一般の方の体のケアに役立てたいという思いが生まれ、自身の鍼灸院を設立しました。初の著書では、治療院に来られない人たちにも老若男女広くトリガーポイント療法の素晴らしさを体感してほしいと思い、汎用性の高い体操本として打ち出しました。

 トリガーポイントという「筋膜リリース法」✕「腹式呼吸法」が融合した、ありそうでなかった体の活性化メソッドが「トリガー体操」です。

――リラクゼーションをメインにした健康本が多いなかで新鮮です。

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小池 現代人はとにかく時間がないですよね。そのなかでいかに効率よく仕事したりパフォーマンスを出すか――疲労を上手に取り除いて、体をオンにするコンディションを整えていけるかどうかは、人生の充実度そのものに直結するでしょう。仕事中なんとなく頭がしゃきっとしない、体が重だるいという方も変化を実感していただきやすいと思います。

 

 日頃から筋膜のコンディションを整えていると、文字通り人生が変わります。代謝がよく集中力の高い体質へシフトチェンジできるのはもちろん、これからの超高齢化社会をできるだけ自分の足で動いて、健康に過ごすための一生の財産が手にはいります。当院にくる高齢の患者さんは笑い話で「ピンピンコロリ、先生のおかげで自分の足で棺桶に入れますよ」なんて言っていますが、長い老後の大半を痛みを抱えたままじっと過ごすのはイヤですよね。

 日本は国民皆保険制度で、少ない負担で世界でもまれにみる高度な医療を受けられます。ただその反面、予防や健康管理には疎い国民性になってしまった。病気になったらマイナスからゼロにするのは熱心だけれど、日頃からゼロをプラスにする意識が希薄。でもこれからは人生100年時代を十全に生きるための意識改革が必要です。

 毎日のトリガー体操の実践で、生涯笑顔でハッピーに過ごすための“筋膜貯金”をぜひ貯めていってほしいと思います。

(撮影:松本輝一/文藝春秋)

プロフィール

小池謙雅(こいけ・けんや)

1977年茨城県生まれ。トリガー鍼灸院グループ代表、トレーナー、治療家。明治鍼灸大学・鍼灸学科、大東医学技術専門学校・柔道整復学科卒。複数の治療院での下積み期間を経た後、2007~2012年の6シーズンに渡って、Jリーグ・鹿島アントラーズのトレーナーを務める。退任後、都内にトリガー鍼灸・整骨院を開業。トリガーポイント治療法をスポーツ選手だけでなく、のべ8万人を超す人々に広く行い高い評価を得ている。