昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「セクシー」「おぼろげながら浮かんできた」テレビドラマが“進次郎構文”をネタにするまで

政界の迷言王子・小泉進次郎から2022年も目が離せない

2022/01/22

 テレビドラマにはある種のトレンドや風潮、実際の事件や社会問題を映し出す役割がある。特に、政治家の失言や暴言、失態は恰好のネタだ。もちろん揶揄もあるが、登場人物の「どちらかというと残念な」人となりを表すのに、うまいこと使われてきた。この10年をちょいと振り返ってみる。

写真1_小泉進次郎は「政治ドラマ」界の新スター? ©文藝春秋

漢字が読めない・号泣・プロンプター丸読み

 まず、筆頭に挙げられるのが「漢字が読めない」。踏襲を「ふしゅう」、未曾有を「みぞうゆう」と読みあげた時の首相を揶揄するドラマが多々あり、2010年代は間違いなくトレンドだった。

 代表的なのが『民王』(2015年・テレ朝)。剛腕の総理大臣である父(遠藤憲一)と、ゆるふわな息子(菅田将暉)が入れ替わるコメディだ。

 入れ替わった菅田(見た目は遠藤)は致命的に漢字が読めず、そのせいで内閣支持率を低下させてしまう。本家のネタと同じ「みぞうゆう」のほかにも、直面を「じかめん」、柔軟を「にゅうねん」、補填を「ほちん」と読んだのだ。

『民王』では、漢字が読めないだけでなく、英語がしゃべれない、「バカヤロー」発言に「あなたとは違うんです」発言など、全編に元首相らのネタが仕込まれており、最も皮肉の効いた政治コメディだったと言える。

『Doctor-X』でいち早く取り入れられた

 また、『Doctor-X』(2019年・テレ朝)では、失言の多い厚生労働大臣が登場(演じたのは角野卓造)。刷新を「さつじん」と読み、失言ばかりでスカしたソフト帽をかぶっていたことから、ネタ元は同じ、漢字が読めない元首相とわかる。最もネタを提供してくれる政治家のひとりだ。ただ、漢字が読めない元首相は残念ながらほかにもいるので、このネタはドラマ界でも定番として残っていくだろう。

 そしてもうひとつは「号泣会見」。兵庫県の県議会議員が政務活動費を騙し取った疑惑に対して、開いた記者会見が元ネタ。耳に手をかざして質問を聞き取ろうとするポーズ、コップの水を手で覆って飲む独特のスタイル、そして最終的にはわんわん泣きじゃくりながら叫んで言い訳する姿が衝撃的だった。

写真2_政務活動費を使った出張について釈明会見する“号泣県議”こと野々村竜太郎兵庫県議 ©時事通信社

 このパロディをいちはやく取り入れたのも、やはり『Doctor-X』(2014年・テレ朝)だった。鈴木浩介演じる医師・原守がロシア帰りで威張り腐っていたものの、開けてみれば張子の虎状態。同僚たちから白い目で見られ、部屋の隅でちんまりと弁明を始める。その顔としぐさは、まさにあの号泣会見そのもの。