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鉄道の要衝・滋賀県 三日月知事が語る「日本の鉄道“新しい地図”」

滋賀県・三日月知事「鉄道インタビュー」#2

2017/12/04
note

地方創生と地方鉄道 広域自治体ができること

――実際に近江鉄道などに乗ってみると、昔ながらの味のある駅もたくさんあって、観光にも役立ちそうだなと感じます。地方創生と地方鉄道との関係という観点からはいかがでしょうか。

三日月 いや、まさしく大いにつながりがあると思っています。京阪石坂線は沿線にたくさんの名所旧跡があって、地元の方はもちろん観光客の方もたくさん乗ってくださっています。また、北陸本線の長浜駅は非常に歴史のある駅で、開業当初は琵琶湖の湖上交通とつながる駅でした。鉄道の博物館もありまして、それを使ってもっとPRしていこうという動きがあります。他にも、近江鉄道の日野駅。これはまた小さいけれども牧歌的で良い駅なんですよ。その駅を改修するということで、ここにはクラウドファンディングや地方創生の交付金を活用しました。可能性はまだまだありそうですね。

近江鉄道日野駅

――地方交通と言うと、交通事業者と市町村、基礎自治体がクローズアップされることが多いような気がします。知事は県が旗振り役をする、中心になって盛り上げるという必要性についてはどのようにお考えですか。

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三日月 これからますます重要になると思っています。ひとつの市の中だけで動く公共交通ってあまりないじゃないですか。だから、県が中心となって盛り上げ役も買って出るし、調整役もしていくと。それに、鉄道だけでも公共交通は成り立たない。駅からバスへの乗り換え、接続。それも含めて総合的に見ていく必要がある。そう考えれば、広域自治体である県が果たすべき役割は大きくなってくるでしょう。

京阪石坂線

京阪通勤圏でも、身近な買い物が不便では意味がない

――滋賀県はJR琵琶湖線を使えばそれこそ京都までは10~30分程度で出られますし、大阪だって通勤圏内と言える立地にあります。そういう観点でも地域交通の整備は重要になりそうですね。

三日月 クオリティ・オブ・ライフの向上。これを考える上でも、滋賀県は自然豊かで京都や大阪と比べれば居住空間も少し広くできます。ぜひ滋賀で暮らしていただきたい。ですが、そのためにはしっかりと公共交通網が整っていることが欠かせません。新快速に乗れば京都・大阪には出られるけど駅まで行くのが不便、身近な買い物が不便、では本末転倒です。すべてがバランス良く、誰もが自由に気軽に出かけられるような交通政策を進めていきたいですね。