1ページ目から読む
4/4ページ目
読み返して、なんか、優しい作品だなと思いました
吉田 そういうふうに読んでもらいたかったので、嬉しいですね。
――最近は題材をどのように選んでいるのですか。書きたいテーマのストックはあったりしますか。
吉田 一応、こういうのが書きたい、というモチーフを常に2つ3つは持っています。「ラッキー・ガール」もそのひとつでしたし。連載の依頼が来て担当の編集者と話しているうちに、「あれを書くならここだな」と決まるパターンが多いです。
――吉田さんは、時事問題や実際の事件からヒントを得たり、影響を受けた作品も多いですよね。
吉田 そうですね。『ミス・サンシャイン』は、連載中ずっとコロナの時期だったので、その影響は少なからずあったと思いますね。コロナの話が登場するわけではありませんが、何かしら力が働いた気がします。たとえば、なんでもない時期よりも、コロナ禍で「寂しい」と書いたほうが、書く方も受け取るほうも、それを肌で感じるというか。言葉としては同じでも、受けるニュアンスが違ってくる気がします。だから今回、出来上がったものを読み返して、なんか、優しい作品だなと思いました。
(取材・構成:瀧井朝世、撮影:深野未季/文藝春秋、初出:別冊文藝春秋2022年3月号)
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。