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そこで急きょ、仕上がりかけていた絵を一から描き直してもらいました。赤木さん夫妻に起きた不条理を多くの人に知ってもらうためのマンガだからこそ、当事者の思いを置いてきぼりにするわけにはいきません。でも、つらい話ばかりでは読者もつらい。どういう作品にしたいかを聞かれて私は答えました。
「笑えるマンガにしてください」
つらい話を面白く、怒りと憤りに笑いをまぶし、読んで楽しみながら事の本質がわかる作品が理想です。では、雅子さんはこのマンガに不満はないのか尋ねると……。
「友達みんなに言われるんですよ。『あんた、これ自分を美化しすぎやろ』って」
自分の姿が現実よりかわいく美しく描かれすぎているという“改ざん”疑惑が持ち上がっているようです。
このマンガはどこまで真実に迫ることができるのか
「でも私は自分をこんな風に描いてほしいとか、注文は一切してませんから。マンガのマサコさんは、魚戸さん(マンガ家)の趣味ですから。私は関係してませんから!」
自分はこの疑惑に関係していない。周りが“忖度”してやったことだ、という主張です。あれ、何か似たようなこと言ってた方がいましたね。「私や妻は関係ない。関係していたら総理も国会議員も辞める」……とか何とか。否定すればするほど疑惑は深まります。さて、このマンガはどこまで真実に迫ることができるのか? この先もぜひご注目ください。
(あいざわふゆき 1962年宮崎県生まれ。東大法学部卒業後、87年にNHK入局。18年夏にNHKを退職し、現在フリー記者。近著に『真実をつかむ』、赤木雅子さんとの共著『私は真実が知りたい』。)