老舗のそば屋で格調高くやるのもよい。そば前を楽しみ、粋なそばを味わう。一方で気楽に肩肘張らず大衆そば屋を楽しむのも心地よい。今回はそんな大衆そばの良店を紹介しようと思う。その店は足立区宮城にある「砂場」である。

宮城1丁目にある「砂場」は駐車場もあるどっしりとした店構え

 足立区宮城は江戸時代寛永年間には開村されていたという。北に荒川(放水路)、南に蛇行した隅田川に挟まれた一帯で、尾久や田端の真北に位置し、どの駅からもなかなか距離がある。あえて言うならば、日暮里舎人ライナーの足立小台駅からが最も近い。そんな宮城1丁目にひっそり営業しているのが「砂場」である。のれん会系の店とは違うという。

足立小台駅から徒歩で25分

 海原のような住宅街を通り抜けて、日暮里舎人ライナー足立小台駅に降り立つ。駅から北には幅広い荒川、南には隅田川がみえる。立体地図のような眺望だ。

ADVERTISEMENT

駅の北側を広大な荒川(放水路)が走る
足立小台駅に降り立つ

 大きな堤防の上にある交差点を渡り、ホームセンター島忠HOMESの横を通り抜け堤防を下り西に進んでいく。荒涼とした工事現場や倉庫群が続いている。

荒涼とした荒川堤防の横を進んでいく

 本当にそば屋などあるのだろうかと不安になる。しばし歩いていくと美容院や商店などが並ぶ住宅街が現れほっとする。細い道を曲がりながら進んでいくと、大きな南宮城公園が、そしてその先に「砂場」の文字と店構えがみえてくる。足立小台駅から徒歩で25分位だ。

南宮城公園の先に「砂場」はあった
「砂場」は昭和27年創業の古参店である

「砂場」の店構えは堂々としている。入店すると長方形のかなり大きな躯体で、縦に4人掛けテーブル4つ、それが3列ほど並ぶ。けっして華美ではなく木材を使った内装で、昭和の雰囲気が漂っている。最初に訪問したのは昨年の秋の平日の午後2時前だった。地元の方だろうか、カツ丼セットを食べていた。量も多くしかもうまそうだった。