Q 「ビッグボス」新庄監督が話題に…。池上さんにとっての「ビッグボス」は?

 プロ野球・日本ハムファイターズの「ビッグボス」こと新庄剛志監督がスポーツニュースを連日賑わせています。現役時代から話題を振りまいてきた方ですが、一方でリーダーとして北海道に移転したばかりのファイターズを盛り上げていたのも記憶に残っており、若手選手たちを現場で引っ張って欲しいなと、一人のファンとして思うばかりです。

肩書きが「BIGBOSS」と書かれた日本ハムの新庄剛志監督の名刺(2021年12月) ©時事通信社

 池上さんが若手だった頃、身近にいた「ビッグボス」的な人はいましたか?(30代・男性・会社員)

A 2人います。

 私にとっての「ビッグボス」は、1973年にNHKに入局して配属された松江放送局でデスクだった人と、もうひとりの先輩記者です。

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 デスクというのは、記者が書いた原稿が正確か、わかりやすいかをチェックして書き直す立場の人です。いつも机に向かって仕事をしているので「デスク」と呼ばれます。この人から、「お前の書いた原稿は中間搾取がひどい」とけなされました。

 どういう意味かと言うと、せっかく取材したのに、原稿にはその一部しか盛り込まれておらず、視聴者にわかりにくい原稿になっている、というお叱りでした。視聴者にわかりやすい文章を書け、と叩き込まれたのです。

 ときには、「お前の原稿はボツ」と宣言され、書き直しを命じられるのですが、どこをどう直せばいいか教えてくれませんでした。自分で考えろ、というわけです。これは苦しく、デスクを恨みましたが、安易に教えるより自分で考えさせるというのは、時間はかかりますが、良い指導法だったと思います。

©iStock.com

 もうひとりの先輩は特ダネ記者でした。松江放送局から東京の社会部に転勤になり、社会部でも特ダネ記者として鳴らしました。彼の口癖は「基礎をしっかり」というものでした。記者としての地道な初動を忘れず、取材力を身につけろという教えでした。

 どこまで身についたかはわかりませんが、その後の記者活動でも常に肝に銘じていました。

©文藝春秋

 新庄監督のように派手でなくても、長い目で見て自分の成長につながるような指導をしてくれる人。そんな存在を自分なりに見つけてください。

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