「せっちゃんが天国へ旅立ってからもうすぐ1年になります。この1年は本当に長かったですが、せっちゃんが誰からイジメを受けていたのか、死へ追いやったのは誰なのかすら未だに私たちにはわかりません。せっちゃんを追い詰めた人が憎いです」
2021年2月12日朝、山形県酒田市立第一中学校1年生だった石澤準奈(せつな)さん(13)が校舎4階から飛び降りて亡くなった。娘を追い詰めた人たちへの怒りを隠さないのは、準奈さんの父親だ。
ある日愛娘が突然いなくなり、後から判明したのは準奈さんがイジメを受けていたという事実。しかし一向に原因が究明されない事態に、準奈さんの両親は苦しみ続けている。
※本記事ではご両親の許可を得た上で、準奈さんの実名と写真を掲載しています。編集部も、準奈さんの死の真相解明の一助になることを願い、可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。
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イジメと準奈さんの自殺の因果関係については、2021年9月に設置された第三者委員会によって現在も調査が続けられている。しかし両親が求めるイジメについての真相究明は、まったくと言っていいほど進んでいない状態だという。
「イジメていたのは誰なのか」は公開されず
第三者委員会は昨年9月、準奈さんの死の理由について生徒たちにアンケートを実施した。両親はアンケート結果の閲覧を望んでいたが、閲覧が許可されたのは実施から4カ月後の2022年1月21日だった。
その日の午後3時頃に準奈さんの両親は学校へ向かったが、手渡されたアンケート結果を見て頭が真っ白になった。
「アンケートは、せっちゃん本人から相談を受けたか、イジメの現場を目撃したか、などの項目について同級生たちが答える形式でした。多くの同級生が、自分が見たり聞いたりしたことを一生懸命書いてくれていましたが、『せっちゃんをイジメていたのは誰なのか』という私たちが一番知りたい部分はすべて黒塗りで潰されていました。同時に行われていた保護者用のアンケートについては、公開すらしてもらえませんでした」(父親)