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LINEいじめは「言葉遊びだと思う」 自殺した高1生徒めぐり校長が法廷で証言

都立高校男子生徒いじめ自殺訴訟

2022/02/02
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仲間外れ、名前連呼などグループLINEでもいじめが…

 クラスの男子のみでつくるグループLINEがあった。Aさんも「招待」されていたが、説明をされないとわからない「グループ名」になっていた。知らなければ、いたずらやスパムだと思い、入室しないこともありうる。クラスでグループLINEに入っていなかったのは、Aさんだけ。このことは、死後に作られた調査委の報告書に記載はない。

「このグループが、クラスの男子だけのものとの説明がなければわからない。知らされていないということは、息子だけを排除していたことは明らか」(Aさんの母親)

 Aさんは中2の頃からTwitterをしていた。ゲームのことや楽しいことを中心につぶやいていた。しかし、高校入学後の5月頃から、悩みを投稿するようになったという。学校については「帰りたい」や「休みたい」という表現が続いた。夏休み明けの9月になっても「休みたい」と言っていた。母親は、担任に「学校で変わった様子はないか?」と電話した。しかし、「特に変わった様子はない」と担任は言っていたという。

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亡くなったAさんの机 ©渋井哲也

「夏休み前のホームルームで机を叩き、大声を出していたことがわかっています。他の生徒の発言に怒ったとの証言があります。侮辱的なことを言われたのではないかと思います」(Aさんの母親)

 このときの出来事について、2021年12月10日の尋問で、当時の担任は「机をたたく直前、他の生徒とやりとりする会話は記憶にない。周囲から見ると唐突に見え、みんなが一瞬、止まりました。発言していたことは聞き取れませんでした。彼にとっては珍しい行動」と証言した。その後、Aさんに声をかけた担任は、「できるだけ人がいない状態で、教室で聞き取りをした」というが、調査委の聞き取りでは、そのやりとりを目撃した生徒の証言が載っている。Aさんはイライラした理由について話をしたが、担任は、事実確認をしていなかったという。

 担任は9月に母親から電話で問い合わせがあったことは認めたが、「電話の所要時間は10分から15分。学校での様子を聞かれた記憶はないです。運動会がイヤというのがメインだったと思います。それに、電話が少し遠かったので、何度も聞き返しました」と、母親の証言との食い違いが明らかになった。