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「(英語の担当教諭が間違えた呼び方をしたときのクラスの反応の聞き取りは)していません。(LINEグループでの、呼ばれたくない名前についての連呼行為を示した画像について)これ自体、初めて見ました。ただ、(LINEでの連呼行為は)言葉遊びだと思う」

 調査委員会の調査では、LINEでの連呼行為について、「(亡くなった)本人が、間違った名前で呼ぶのをやめてほしい」と言っていた、という生徒の証言が記されている。これについて校長は「(この証言の資料を)見るのは初めてです」とした上で、「このことが、亡くなったAさんに、心身の苦痛を与えたかどうかはわからない」と、いじめとの認識はなかった。

 Aさんは9月になって、4回の保健室利用がある。これは遺族の個人情報開示請求でわかった内容だが、校長は「保健室を利用し、医療に関わる可能性がある場合は、利用者カードに記入し、担任か教科担当教員に渡すことになっていたが、当時は、特別な配慮が必要との認識はなかった。9月は行事が立て込んでいて、毎日10人以上の生徒が保健室を利用していた」として、保健室での何かしらのサインには気づけなかった理由を説明。自殺の予見可能性や安全配慮義務を事実上、否定する主張の証言となった。

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都教委の職員による母親への“暴行”も発覚した

 事後対応をめぐっては、Aさんの死後に設置された調査委の事務局で、都教委の職員が、母親に対して“暴行”を働いたことが問題になった。

 2016年8月、担当職員が、調査委の会議後、都庁庁舎内で母親と面談している。向かい合って座っていたが、母親が「親しかった生徒とのトラブルがなかったか調査してほしい」などと話をすると、「調査していることで生徒や保護者から苦情が出ている」などと怒鳴りながら、担当職員が立ち上がり、持っていたファインダーを何度も叩きつけた。このことで母親は「もう調査をしなくていい」と言ったほどだ。

 これについて、この職員も尋問に応じて、「叩きつけたのは3回。できる限り冷静に対応しようとしました。しかし、原告が、ある生徒の名前を挙げて不満を述べていました。私自身、感情的に大きな声を出してしまいました。対応については反省しています。しかし、恫喝はしていない」と証言した。いじめに関する調査の過程で、教委の事務局担当職員のこうした対応が明らかになるのは異例だ。