未舗装のダート路を進んでいくと……
何も知らずにまっすぐ進んでいると、この未開通区間に気付かない人もいるかもしれない。青崩峠が近づくと突然道路は立派になり、その道を進むとこれまた高規格の草木トンネルが現れる。
しかし、そこはあくまで“迂回路”であり、国道152号の本来のルートは、道路が立派になる手前でひっそりと右折し、青崩峠へと向かっているのだ。
では、右折した先ではどうなっているのか。青崩峠に向かう、狭く急こう配の坂道を上がっていくと、途中から道路は未舗装のダートになる。だが、ダート路も長くは続かず、遂には遊歩道になり、車では進めなくなってしまう。終点に車を置いて少し歩いていくと、青崩峠に到着する。
峠からの眺望はあまりよくないが、そこらじゅうの斜面が崩れまくっているのが見える。崩れた崖の斜面が青く見えることから青崩峠と名付けられたといわれているが、それを踏まえた上で見てみると、確かにうっすらと青っぽく見える。
高速道路のような道が一転、狭隘路に……?
未開通区間はさらに、峠を反対側に下っていった先へと繋がっている。だが、車を置き去りにしてこのまま進むわけにもいかないので、来た道を戻り、車に乗って草木トンネルへと向かう。
その先は市道や県道が繋がっている。ここを道なりに進むと、青崩峠の東側にある兵越峠へと回り、やがて国道152号(先程の青崩峠を反対側へ下っていった先)に復帰する。つまり、不通区間を迂回することができるのだ。
草木トンネルを出ると、まるで高速道路のように広く整備された高架橋の道が続いている。かと思えば、そのすぐ先で一気に道幅が狭くなり、対向車とすれ違うのもひと苦労という狭隘路に激変する。そんな不思議な道が、兵越峠を越えて国道152号に復帰するまでの間、延々と続いているのだ。
この“ちぐはぐな道”こそ、青崩峠を巡る挑戦と混乱の歴史を象徴している。