国道から左折して蛇洞林道を経由することで、不通区間は迂回することができる。しかしその前に、国道152号をあえて直進して通行止となる末端部を確認しておきたい。こういうことを繰り返すと時間ばかりが過ぎてゆくが、こればかりは酷道マニアの性なので仕方がない。
山道の樹木に国道標識が!?
末端部を確認したら折り返し、蛇洞林道に入る。蛇洞林道も地蔵峠を通過するため、立ち寄ることにした。本来国道が通るはずのルートには山道があるだけだが、少しだけ歩いてみようと入ってみると、なんと逆三角形の国道標識、通称オニギリがあるではないか!
驚いて駆け寄ると、少し様子がおかしい。金属製ではなくプラスチック板で、サイズも小さい。どうやら誰かが自作し、勝手に取り付けたもののようだ。それにしても、山道の樹木に国道標識が取り付けられている光景は、とてもインパクトがある。
車に戻り、林道で峠を下って国道に復帰する。また20分ほど2車線の快適な道路を走ると、いきなり道幅が狭くなる。道幅は普通車でギリギリ、舗装はされているが所どころで剥がれてしまっている。路上の落石にも注意が必要だ。
本格的な酷道が長く続いており、ワクワクしながら走っていると、徐々に日が傾いてきた。分杭峠に到着する頃には、すっかり暗くなってしまった。これまでに何度か分杭峠には来ているが、いつも決まって日没後だ。国道の末端部や、本来国道が通る筈だったルートに寄り道してしまうのが原因だと分かっているのだが、いつか明るい分杭峠を見てみたいものだ。
「日本のトンネル技術」勝利の日は近い?
ところで、今回紹介した1つ目の不通区間では、新たに青崩峠の下にトンネルを掘り直す計画が進められている。
技術は日進月歩する。進歩した技術で再検討し、トータルでの工事費や環境への影響なども考慮した結果、ルート変更されたのだろう。
その計画は2013年に事業化され、2018年にはトンネル工事が始まった。調査が開始されてから45年、青崩峠の未開通区間を解消する目途がようやく立ったのだ。「日本のトンネル技術が勝利」となる日は近いだろう。
複数の峠を擁し、2箇所の不通区間を抱える酷道152号。その歴史的背景、これまでの経緯、道の酷さ、距離の長さ、景色の良さ、どれをとっても抜群に魅力的だ。
しかし、実際に酷道を走るには、危険が伴う。十分に熟慮の上、それでも行かれる場合は、万全の準備で挑んでほしい。ガソリンの余裕は心の余裕、早めの給油もお忘れなく。
撮影=鹿取茂雄
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