3歳の長女を自宅アパートに置き去りにして旅行に出ている間に衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われている母親の梯沙希(かけはし・さき)被告(26)。2022年2月1日に東京地裁で開かれた裁判員裁判では被告人質問ののちに論告、弁論が行われ、検察側は懲役11年を求刑。弁護側は懲役5年が相当だと述べた。判決は2月9日に言い渡される予定だ。
梯被告は2020年6月、鹿児島に9日間の旅行に出た際、当時3歳の娘・稀華(のあ)ちゃんを東京・大田区の自宅アパートに鍵をかけて放置し、脱水と飢餓で死なせた保護責任者遺棄致死や、その前月8~11日にも同様に、自宅アパートに稀華ちゃんを閉じ込めたまま鹿児島に旅行に出たという保護責任者遺棄の罪に問われている。
検察側は論告において「おむつを2枚重ねにして窓が開かない寝室に稀華ちゃんを放置して外からドアの鍵を閉めた。親権者にもかかわらず長期間極めて過酷な状況においており、犯行態様は悪質。交際相手の元に行くという自己の欲求を優先した身勝手な犯行」などとして懲役11年を求刑した。
また梯被告が稀華ちゃんを置いたまま外出したのは今回の2度だけではなかったことに触れ、常習性の高さを指摘してもいる。
「稀華ちゃんを自宅に1人で残して友人や交際相手との遊びを繰り返していた。平成31(2019)年4月以降、24時間以上外出をしていた回数は、本件犯行を除いても19回ある」(論告より)
対する弁論では、第2回公判の記事でも報じたように、梯被告の「断れない」性格などに触れ、なぜ彼女がこうした行動を繰り返し、誰にも頼らず稀華ちゃんを放置したのか、その心理状態を解説しながら、懲役5年が相当であると主張した。