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 パソコンを使ってのリモート勤務で済む従業員も多い一般の会社員とは違って、警察や消防関係、JRなどインフラ関係、医師や看護師などの医療従事者、学校や福祉・介護施設に勤める人々には、離れることのできない「持ち場」がある。それらは17時半になったからといって終わるわけではない。それどころか、夜勤が当たり前、夕方から夜半までが最も多忙、という職種などいくらでもある。

 こうした「持ち場」のある職場では、自分が休みを取れば、同僚らがそれを埋めなければいけない。

 防衛省、宮内庁、警察庁に勤める公務員の育休取得率が上がらなかったのは、この「持ち場」を離れられない職場事情が関わっているはずだ。そうした父親たちは、育休を取りたくとも取れなかったのが実情ではないか。従事する仕事の性質により、育休の取りやすさが異なるという事実を無視してはならない。どれほどブームになろうとも、そう簡単に「休みます」と言えない父親もいるのだ。

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「父親がいない家庭」は失格なのか?

 イクメンの「ブーム化」「義務化」への疑問の3点目は、父親が育児に参加できない家庭があることが見過ごされている点だ。様々な理由で、父親がいない家庭がある。病気や障害、その他さまざまな事情を抱えて、思うように育児ができない父親がいる。あるいは、理由があって、家庭を離れて生活している場合もある。

 季節労働者として地方から東京に出稼ぎに来ている父親たちと話したことがあるが、彼らは子どもたちと離れての暮らしをとても淋しがっていた。また、子どもを転校させるのがかわいそうで、単身赴任を選んだ男性も少なくない。こうした人たちも、「父とは呼ばない」と非難するのだろうか。家族はむしろ感謝しているのではないだろうか。