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半数が昆虫採集をしたことがない

 運動を伴う遊びに限らない。自然体験を促す役目を父親が担うこともあるだろう。

 最近は自然に触れることが少ないためか、昆虫を恐がる子どもも少なくない。そのせいで、2012年にはジャポニカ学習帳の表紙から昆虫写真が消えるといった事態まで生じた。

 「子どもが昆虫写真が嫌でノートを持てない」「授業で使うとき、表紙に昆虫写真があると、ノートを閉じられない」といったクレームが寄せられるようになったからだという。

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 このような事態をみると、子どもの健全な発達のためには、自然とふれあう機会を小さい頃から与えていく必要を感じざるを得ない。

 私は、教育心理学を専門としつつも、環境教育にも携わり、自然体験や生活体験についての調査も行ってきた。1990年頃に実施した調査でも、すでに若者が自然体験が乏しいままに育ってきていることが明らかになっていたが、当時の若者を親にもつ今の若者のデータ(2017年に調査実施)をみると、さらに自然体験が乏しくなっていることがわかる。

◯水辺について

「海や川で魚すくいをしたこと(金魚すくいなどは除く)」がほとんどない 64%

「生きている魚に触ったこと(魚屋などを除く)」がほとんどない 52%

 

◯植物について

「種をまいて植物を育てたこと」がほとんどない 48%

「木登りをしたこと」がほとんどない 41%

「果実を木からもぎ取ったこと」がほとんどない 54%

 

◯昆虫や小動物系について

「セミやトンボを捕まえたこと」がほとんどない 48%

「バッタやカマキリを捕まえたこと」がほとんどない 48%

「ミミズを触ったこと」がほとんどない 72%

 

◯自然体験について

「泥遊び(公園の砂場などを除く)をしたこと」がほとんどない 45%

「落ち葉や枯れ葉で焚き火をしたこと」がほとんどない 73%

 このように、一昔前まではだれもがごくふつうに触れていた自然が、いつの間にか非常に遠いものになっているのである。

 しかも、今子育てしている親世代さえも自然体験が乏しいのである。先にふれたジャポニカ学習帳の件でも、昆虫写真が気持ち悪いという反応は、子どもだけでなく親や教師にもみられたという。実際、1990年代に私が実施した小中学校教員を対象とした調査でも、教員の自然体験がすでに非常に乏しくなっていることが明らかになったのだった。

 一般に、母親の方が自然体験が乏しく、自然を怖れたり、昆虫類にあまり縁がなかったりすることが多いので、自然の中に連れ出し、原っぱで遊んだり、水辺で遊んだり、昆虫採集をしたり、植物や野鳥を観察したりすることも、父親が担う必要のある遊びと言えるのではないか。