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友だちと遊ぶための基礎作り

 父親との遊びの効果については、多くの心理学的研究により、子どもの発達にとって好影響があることが実証されている。

 発達の度合いが高い子どもは、父親とよく遊んでいる。子どもの言いなりにならず、してはいけないことをきちんとしつける父親の場合、子どもの発達は良好である。父親とよく遊ぶ子どもは、情緒的に安定し、社会性も自発性も高い。父親と日常的に遊ぶことは、情緒的発達や社会的発達に好影響を与える。このようなことが、実際にデータによって証明されている。

 なぜ父親との遊びが子どもの発達に好影響をもたらすのか。それについては、父親ならではの活発で動きのある遊びが効果をもつのだという指摘がある。

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 私自身、子どもたちとはよく遊んだものだが、動きのある遊びといえば、「高い、高い」と言って子どもを上方に放り上げ、脇の下に手を差し込むようにキャッチしたり、子どもの首の後ろと股の間を手で支えて、遊園地の海賊船のように左右に大きく揺らし続けたりすると、子どもたちは「キャッ、キャッ」と声を出して大喜びだった。

 このような遊びには筋力が要る。きょうだいがいれば「僕も」「私も」と大騒ぎになり、順番にしてやらねばならず、体力を要する。もちろん夫婦の個性によっては母親が行うこともあるかもしれないが、力仕事への適性からして、一般には父親が担うことが多くなるだろう。

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父親との挑戦的遊びが、良い訓練に

 父親との身体を使った活発な遊びを通して、身体や運動神経が鍛えられ、後に友だちと遊んだりスポーツをしたりする際の基礎ができるということもあるだろう。

 また、子どもに合わせて遊んでくれる父親に挑戦しつつ楽しむことで、ものごとに積極的に挑戦する心が培われるということもある。

 友だちと違って、子どもの発達水準に合わせて手加減しながら遊んでくれる父親との挑戦的遊びが、友だちとの対等なやりとりの準備段階として、良い訓練になるといった面もあるだろう。

 わが家では、よく球技をしたものだった。近所の金網に囲まれた小さな球技場に息子を連れて行き、私が球を投げて、息子に打たせて遊ぶ。サッカーボールをもって小さな空き地に行き、息子と娘の3人でサッカーをして遊ぶ。娘を連れ出し、駐車場や職場の空き地でバレーボールをして遊ぶ。息子用の野球のグローブとボール、サッカーボール、娘用のバレーボールをもって、近所の緑地公園に出かけ、球技をしまくって遊ぶ。そんな感じで平日の夕方や休日にしょっちゅう子どもを連れ出し遊んでいた。