「長いわ!」

 東野幸治がたまらず止めに入った。松本人志がコロナの濃厚接触者となり欠席した『ワイドナショー』(フジテレビ)で、モノマネ芸人のJPと原口あきまさが、松本と東野に扮してオープニングトークを約3分にわたって繰り広げたのだ。画面から目を離すとホンモノが喋っていると勘違いしてしまうほどのクオリティ。声色はもちろん、2人がいかにも言いそうなことややり取りで、その間(ま)やそれぞれのクセまで完璧にコピーしている。ホンモノの番組でホンモノの“代役”をするという、モノマネ芸人として最高の晴れ舞台を見事に勤め上げた。

 彼らのコラボレーションは、『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ)を中心に継続的に行われてきた。この番組のひとつの目玉はそうしたコラボネタ。原口とJPは、河口こうへい、ガリベンズ矢野といったモノマネ芸人と組んで『ワイドナショー』再現コントを演じていたのだ。驚くのはそれが「台本一切なしのフリートーク一発撮り」だということ。つまり彼らはその人物が言いそうなことやクセを完全に頭の中に入れ憑依させているのだ。以前、原口はその人の「間」を大事にしていると語っていた。「間が狂ってくるとその人に見えてこない」、「話を聞いているときの間」が大事なのだと。しゃべっているときよりも聞いているときに注目するというのは目から鱗だった。確かに相槌の打ち方のクセだけでその人の特徴が如実に出る。だから単体でモノマネするよりも複数でやりとりをするほうがそれっぽいという現象が起こるのだろう。

ADVERTISEMENT

千鳥の大悟(左)とノブ(千鳥スタッフ公式Instagramより)

 1月27日の『クセがスゴいネタGP』でもそんな原口の真骨頂が垣間見えた。この日はマヂカルラブリーの野田クリスタルとコラボ。原口は石橋貴明になりきり、マヂカルラブリーが『M-1グランプリ』決勝で披露した漫才「フレンチレストラン」を行った。ゲストの島崎和歌子が「気持ち悪いくらい似てるよねえ」と絶賛するように本当に石橋と野田が漫才をしているよう。本来、村上が野田に「違うよー」とツッコみ続ける漫才だが、石橋独特のイントネーションと間で「違うよ」とツッコむのが妙に面白い。

石橋貴明のモノマネをする原口あきまさ(『クセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)1/27放送より)

 この番組の肝はMCである千鳥のコメントだ。もちろんコラボネタだけではなく、レインボーのように1年以上続く長編コントや、佐久間一行が「日谷ヒロノリ」なる歌手になりきって歌ったりと、千鳥が「大クセじゃあ!」などとツッコみながら笑いどころを示してくれる安心感からか、普段は見せないクセまみれの変化球のネタが多い。一見それは“本ネタ”ではない余技のようだが、モノマネでもわかるように、「クセ」とはその人の真髄、コアな部分。千鳥はその魅力をツッコミで伝えているのだ。

INFORMATION

『千鳥のクセがスゴいネタGP』
フジテレビ系 木 21:00~
https://www.fujitv.co.jp/kusesugogp/