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消費者の言うことと表情は4割が一致しない

 商品を購入したり、サービスを受けたりすると、商品の満足度や接客態度についてアンケートを求められることがあります。お客様がどれくらい商品やサービスに満足しているのか、マーケティングの観点から非常に気になるところです。プリントやwebのアンケートなどで満足度を測る形式が採られていますが、どのくらいお客様のホンネが反映されているのでしょうか。

「面倒だな」と思いつつも店員さんのお願いを断りにくく、アンケートに応じる。10項目程度から成るよくあるアンケート。評価は「大変不満」から「大変満足」まで7段階あります。余程訴えたいことがない限り、「大変満足」か「満足」にパパッとチェック。少しくらい不満があっても「満足」にチェックを入れたりします。不満の理由を答えるのが面倒だからという方が、ほとんどではないでしょうか。

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 アンケートに適当に答えるのは、面倒という理由だけではありません。質問事項の意図がわからなかったり、購入時の記憶が曖昧だったり、商品の購入動機が店に入る前と入った後とで変わっていたり、自分の本当の動機に自分自身すら気づいていない、ということもあるでしょう。ハーバード大学経営大学院のジェラルド・ザルトマン教授の研究によると、自分自身の思考や感情のうち、本人が自覚しているものはたったの5パーセントで、無自覚のものが95パーセントなのだそうです。

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 このような私たちの無自覚の声を捉える方法はないのでしょうか。この疑問にヒントを与えてくれるのが、サンフランシスコ州立大学ディビッド・マツモト教授らによる研究です。

 アメリカ中西部に住むアメリカ人女性119名を対象に、美容品・衛生用品・家事用品・健康用品について、それぞれの商品のコンセプト・使用法・テレビコマーシャルについてインタビューを行い、インタビュー応答時の表情を計測します。その結果、次のことがわかりました。