しかし、軽蔑や嫌悪という感情を抱いてしまうと、コミュニケーションの断絶が起きてしまいます。軽蔑を抱いた方は、相手を対等な立場とはみなさなくなり、相手が下手(したて)に出ない限り、話を聞かなくなります。
嫌悪は「不快なモノの除去」という行動に向かいます。パートナーとのコミュニケーション自体を不快と感じてしまうと、「口もききたくない」という状態になってしまいます。これではケンカや言い争いどころか、意見の調整というコミュニケーションすらまともにできなくなります。
相手が発している軽蔑や嫌悪に気づくことが出来れば、自分のどんな言動に問題があったかを内省し、冷静に考えることが出来ます。しかし、相手の感情に気づけなければ対処のしようがありません。
「雨降って地固まる」というように、ケンカや意見の食い違いを経験したからこそ、仲がより深まるということもあります。ケンカや意見をぶつけ合うときこそ、自他の感情の流れをロジカルに捉え、冷静に自分を見つめることが大切だと思います。
子どものウソは泥棒の始まり?
4~5歳のお子さんがいると、「あれ! この子、ウソついてる?」と感じる時期が訪れると思います。そして、年齢が上がるにつれ、子どものウソはどんどんと巧みになっていきます。ウソをつくには、他者の心の状態を想定するという高い認知力が必要です。また、ウソがばれないように自分の行動を意識し、抑制するスキルが必要です。巧みなウソをつけるということは、知能が発達してきている証拠だと捉えることが出来ます。しかし、「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉があるように、子どもがウソをつくことを心配される方もいるでしょう。親は、子どものウソにどう接したらよいのでしょうか。
こんな実験があります。6歳から11歳の子ども172人を対象に、1対1の対面式クイズをします。子どもの目の前には、クイズの問題が書かれたカードが置かれており、出題者はそのカードを見ながらクイズを出します。子どもがクイズに回答したら、カードを裏返し、そこに書いてある答えを発表します。しばらくしてから、出題者はクイズを中断し、席を外します。子どもに少し待っているようにお願いします。
このとき、クイズの答えをのぞいてはいけないよ、と釘を刺しておきます。子どもは1人部屋に残されますが、子どもにはわからないように隠しカメラで録画しています。そしてしばらくすると、出題者が戻って来てクイズを再開するのです。出題者が不在の間、どのくらいの子どもがクイズの答えをのぞき見したでしょうか。