『タイガーマスク』『アイアンキング』『太陽にほえろ!』…昭和(主に1960~70年代)に放送された懐かしのテレビ番組の最終回をまとめた『最終回にほえろ!傑作編』と『最終回にほえろ!名作編』(岩佐陽一著)が電子復刻された。

 ここでは『最終回にほえろ!傑作編』から一部抜粋して、全718回にわたり放送された人気ドラマ『太陽にほえろ!』の最終回を紹介する。

『太陽にほえろ!』で藤堂俊介=ボスを演じた石原裕次郎(左)©文藝春秋

あの長寿ドラマはTBSを打ち破るために創られた

 14年と4か月にわたってオンエアされた『太陽にほえろ!』は、しかし、驚くべきことに最初から「長寿番組を創造する」との意図のもとに企画されたという。創ろうと思ってもなかなか実現は難しい〝長寿番組〟を、そう思って創ってしまったのだから、やはり本作の元ゼネラルプロデューサー・岡田晋吉はあまりにも偉大すぎる。

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 当時、『キイハンター』(68年)や『ありがとう』(70年)などの人気長寿シリーズでTV界の王者たる地位を不動のものにしていたTBSを打ち破るためには、自局(日本テレビ)にも〝長寿番組〟をうちたてねばならない──そう考えた岡田は、他局の人気長寿番組を徹底的に研究。そこに、自身がこれまでに培ってきた番組創りのノウハウを加えることで完成したのが『太陽にほえろ!』だった。

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 あくまでも映画スター石原裕次郎演じる藤堂俊介=ボスを主役にすえながら、青春ドラマの常套手段である〝成長ドラマ〟として若手刑事たちの成長ぶりを描きつつ、その人気が頂点に達したところで〝殉職〟させてしまうあたり、まったくもって見事としか言いようがない。『太陽にほえろ!』──なるべくしてそうなった、長寿番組の金字塔である。