1ページ目から読む
2/4ページ目

「太陽にほえろ!」の“殉職の歴史”

『太陽にほえろ!』の14年はまた、大勢の刑事たちの〝殉職の歴史〟でもあった。72年7月13日、初代若手刑事である早見淳=マカロニ(萩原健一)が、通り魔に刺し殺されて以来、若手を中心に数多くの刑事たちがその跡を追うかのように殉職していった。

早見淳=マカロニを演じた萩原健一 ©文藝春秋

 優作本人はどうあれ、彼の名を一躍世に知らしめることになった柴田純=ジーパンも、犯人ならまだしも錯乱した被害者の銃弾を受けて非業の死を遂げた。時に74年8月30日のことである。三代目〝順〟こと三上順=テキサス(勝野洋)も、田口良=ボン(宮内淳)も銃弾の雨を浴びて死んでいった。山男・ロッキーこと岩城創(木之元=スーパーガッツ隊長=亮)は、念願のロッキー山脈登頂を果たすも、皮肉にもそこで犯人の凶弾に倒れてしまう。

三上順=テキサスを演じた勝野洋 ©文藝春秋

 まさかこの人は……!? と、思われたデンカ=島公之(小野寺昭)も不慮の事故で、ゴリさん=石塚誠(竜雷太)も、宿敵(?)竜神会を壊滅させて果てた。せっかく捜査一係に復帰したのも束の間、滝隆一=スコッチ(沖雅也)も、捜査中に古傷が悪化して病死した。

ADVERTISEMENT

石塚誠=ゴリさんを演じた竜雷太 ©文藝春秋

 そして──マカロニの再来ともいうべき春日部一=ボギー(世良公則)が、殺し屋に暗殺されてしまう。続けて、竹本淳二=ラガー(渡辺徹)が犯人の凶弾に倒れた後……ついにあの! 山さん=山村精一(露口茂)までもが殉職してしまう。

 よく〝殉職劇〟は、〝番組の新陳代謝〟や〝悲劇を盛り上げるため〟に創られると思われがちだ。たしかに〝TV番組〟という性格上、そういう部分も多分に否めない。だが、その根底には常に〝命は大切なもの〟という創り手のメッセージがこめられていることをくれぐれも忘れないでほしい。最終回、ボスを演じた裕次郎の、屈指のアドリブによってそれは見事に結晶化する……!