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解説者時代もアイスに乗り続けてきた

 5人目としてロコに加入するにあたり、大きな仕事のひとつとなるナイトプラクティスとストーンチェックを石崎はすでに自分の仕事としてとらえていた。

 ストーンチェックとは、毎日、全試合が消化されたあとのアイスで、翌日に使うストーンを実際に投げて、そのクセを把握する作業だ。チームにもよるが、基本的には各国のコーチとフィフスが担う。

 その際により正確を期すために、石崎は投げ方をロコ・ソラーレのメンバーに合わせて修正した。

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いわゆる「もぐもぐタイム」の際にも、必ず輪の中には石崎の姿がある ©JMPA

「言われなくてもやるってすごいことだよなあ」と小野寺コーチが感嘆していたが、五輪をコーチボックスとアイスの両方で経験した選手ならではの理解と行動の早さだった。

 また、その対応がすぐにできた理由に石崎のアイスに乗る機会の多さも挙げられる。解説者時代も北海道が主導する北海道タレントアスリート発掘育成事業のコーチとして若手の指導に尽力したほか、札幌カーリング協会のリーグ戦にも継続して出場していた。知る人ぞ知る強豪「SHOOTING STAR」所属だ。

「SHOOTING STAR」はリードが石崎琴美、セカンドに名門・札幌国際大のヘッドコーチ土居誉享、サードにソルトレイク五輪にリードとして出場した松沢美香、スキップが長野五輪代表で現在は北海道銀行のコーチでもある佐藤浩という、豪華とマニアックの絶妙のバランスで成り立つチームだ。

「超特等席からオリンピックを楽しんでほしい」

 せっかくなので3選手の石崎へのコメントとメッセージを紹介したい。

「メンバーの中でいちばん忙しいのにいちばんアイスに乗っていて、試合中もどんなにピンチでもネガティブなことは一切、言わない。現状をしっかり分析して対策を練る。そんな彼女に何度も助けられてきました。あと1試合、楽しんできてください。五輪のメダリストをSHOOTING STARから輩出できて誇りに思います」(土居)

「難しい局面の時こそ、ことみんの存在が重要になるかと思います。いつもの冷静沈着な判断でチームに追い風を! なにより超特等席からオリンピックゲームが観られることを心から楽しんでほしいです」(松沢)

SHOOTING STARのメンバー(右端が石崎)

「ロコの本橋麻里代表理事からは『北京五輪まで琴美ちゃんの力を貸してください』というオファーだったので、我々としてはロコ・ソラーレへのレンタル移籍と認識しています。琴美はあくまでうちの大切なリード。今後のことはレンタルフィーや買い取りオプションも含め、帰国後に本人と本橋を交えて交渉の席を用意します。というのは冗談だけど、札幌のみんなも応援してます。気をつけて帰ってこいよー」(佐藤)