いかにもカーラーらしい愛とユーモアに満ちたチームだが、石崎離脱の影響はことのほか大きく、SHOOTING STARは昨秋、札幌のAリーグから降格。現在はBリーグで昇格を目指して戦っている。
ただ、チームは北京五輪開催中に緊急ミーティングを開き、「まさかオリンピアン、しかもメダリストをBリーグに出場させるわけにはいかない」と地元の有望な若手を補強した現在の体制で結果を出し、早ければこの夏のAリーグ昇格を待って石崎を“買い戻す”意向らしい。今季、札幌のリーグ戦の行方にもごくごくわずかに注目が集まるかもしれない。
「頼れる琴美ちゃん」の今後はいかに
吉田知那美がこう言っていたことがある。石崎がロコ・ソラーレに加入した最初の冬だ。
「琴美ちゃんがロコに来てくれて嬉しいんですけれど、それによって『石崎さんの解説、分かりやすかったのに残念』というファンの声もあったんです。それはすごい嬉しいのと同時に、琴美ちゃんをとっちゃって申し訳ないなという気持ちもあって。でも、だからこそ私たちはいい試合をしないといけないと思っています」
ここまでの10試合はその言葉に恥じない、カーリングという競技とロコ・ソラーレというチームの魅力が詰まった時間だった。当の石崎には冬季五輪最年長のメダリストという大きな勲章までついて感無量だろう。
北京入りの前、石崎は今大会について「私のカーリング人生の最後かもしれない」と発言していた。メダルの色とともに彼女の今後の去就が注目される。
しかし、ロコ・ソラーレのサポートを続けるにしても、解説者としての活動を再開させるとしても、勤務先の松田整形外科記念病院で働くとしても、SHOOTING STARのAリーグ制覇に貢献するとしても、どの未来も明るい。頼れる琴美ちゃんの帰国を北海道中が、いや、日本中が待ち望んでいる。
石崎琴美(いしざき・ことみ)
1979年北海道旭川市生まれ、帯広育ち。東光舗道株式会社カーリング部で競技をはじめ、河西建設に加入後の2000年に日本選手権初優勝。ロコ・ソラーレには2015年のパシフィック・アジア選手権に帯同したのが初めてで、正式に加入したのは2020年。五輪は2002年ソルトレイクシティ、2010年バンクーバーに続いて12年ぶり3度目の出場となった。趣味はスポーツ観戦、BTS鑑賞。
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