身長1m80cm、体重180kgの体躯を誇り、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で“恰幅のいい”伊豆の武士、工藤茂光役を演じた俳優の米本学仁さん(42)。工藤は源平盛衰記に「太っていて、戦で難儀した」という記述が残っているほどの巨漢だったようで、大河ドラマのプロデューサーも「とことん大柄な人にお願いしたい」と考えていたという。工藤は2月6日に放送された第5話「兄との約束」で片岡愛之助さん演じる北条宗時とともに伊東祐親の刺客により落命したが、その“圧倒的な存在感”はお茶の間に強烈なインパクトを残した。
米本さんの俳優デビューは2013年。演技未経験ながら、忠臣蔵を題材にしたハリウッド映画『47RONIN』で、主演のキアヌ・リーブスとともに戦う侍に大抜擢。以後、ハリウッドを中心に活動を続け、今回、満を持して大河初出演となった「逆輸入俳優」の素顔とはーー。(全3回の2回目/1回目を読む)
◆
筋肉留学中のなかやまきんに君との出会い
2007年に渡米してまずは語学学校に半年通いました。英語力は皆無で、イミグレーションで質問されても何を言ってるかわからず、全力のハニカミで乗り切ったくらいです。毎日1、2時間睡眠で、徹底的に勉強しました。その語学学校の先生の紹介で、ドキュメンタリー映画の制作をしている方のもとでインターンとして働いたり、カレッジで映画の歴史を学ぶフィルムスタディーズという学科に通ったりしました。。そのカレッジで出会ったのが、タレントのなかやまきんに君だったんです。「よかったら課題とか協力し合いましょう」ということで連絡先を交換したのをきっかけに親しくなり、なかやまさんの卒業公演のコメディショーも裏方として手伝いました。
俳優としてスカウトされたのは、その公演のデータをなかやまさんに渡しに行った時のこと。二人でラーメンを食べていたら、急に知らないおじさんが僕の方へやってきて「演技に興味はありませんか?」と。僕は、「興味はありますけど、僕はカメラの後ろ側にいる人間なので、何かいいお話だったら、彼は日本で有名なコメディアンだから彼に」となかやまさんの方に振ったのですが、おじさんは「あの、うん、彼はいいんだ」みたいな感じで(笑)。
ハリウッドのオーディションを受けてみることに
これも何かの縁と思い、連絡先を交換したら、1週間後に「作品名はまだ言えないけれど、オーディション受けてみないか」と連絡が来た。後から知ることになるのですが、それが『47RONIN』のオーディションだったんです。
ちょうどその時、僕は知人に『太秦ライムライト』などの作品がある映画監督の落合賢さんを紹介してもらい、アシスタントとして働くことが決まっていました。しかし、スタッフとして参加する予定の映画の撮影がストップしてしまい、僕は宙ぶらりんの状態だったんです。今は時間があるし、ハリウッドのオーディションがどういうものかを知るのはいい経験になるだろうと思い、受けてみることにしました。